「本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか?「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」が「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

「どう思う?」が干渉の呼び水になる
次のセリフを読んでみてください。
「今日、また部長に注意されたんだよね。私のこと目の敵にしてひどいよ。どう思う?」
こんな言葉遣いをする人、あなたの周りにもいるかもしれません。あるいはあなた自身にも、職場や家庭でこういったものの言い方をした経験があるかもしれません。
実はこれ、要注意なセリフです。こういった言葉遣いが、干渉の「呼び水」になってしまうのです。
「えっ、どこが?」と思った方も多いと思うのですが、その呼び水の要因は「どう思う?」という最後の言葉にあります。
「どう思う?」は表面上は相手に対する質問ですが、その内側には、「同意して欲しい」という隠れた欲求があるのです。
ただ、そんな「伝える側」の事情が相手にテレパシーのように届くはずはありません。
「聞かれた側」は当然、「意見を求められているんだな」と思います。
そしてしばしば、こちらが聞きたくなかった返答をしてきます。
「目の敵にされてるなんて、あなたの被害妄想じゃないの?」
「前と同じ注意をされたんなら、あなたも改善しないとダメじゃない!」
同調してくれると思いきや、予想外のダメ出しが返ってくる。
こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。そのメカニズムはあなたの「語尾」が発端になっています。
もしあなたが、こんな結末を望んでおらず、「ただ、聞いて欲しかっただけなのに」と思うなら、それをはじめに言っておくと、こういったトラブルとは無縁になります。
「ごめん、ちょっとだけ愚痴につき合って。意見は言わなくていいから、聞いてくれるだけでいいからさ」
こんな言葉の工夫が功を奏すのです。
干渉されやすい人は、えてしてこの「最初の希望」を省略します。そのせいで干渉され、さらに愚痴が増えるというループに陥りやすいので、端折らずに相手にどんな役割をして欲しいのかをリクエストしましょう。
ちなみにコーチングでも、初回は必ず「役割確認」を行います。
林健太郎(以下、林)「よろしくお願いします。私は何の役割をすればいいですか?」
相手「え? 私が決めるんですか?」
林「はい。最初に希望を言っていただくことで、対話のスタイルが変わるので」
相手「そういうものなんですね。役割ってどんな種類があるんですか」
林「聞くに徹する役割もあれば、必要に応じて質問したり、まとめたりする役割も、一緒にブレストする役割もあります」
相手「じゃ、まずは聞くに徹する役でお願いします」
このように、最初に関わり方を設定すれば、会話の齟齬は大幅に減ります。
プロのコーチには必要不可欠な会話の取り回しです。
(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)