この夏に絶対行きたい!特別展「江戸☆大奥」の見どころ解説【写真多数】東京国立博物館平成館の入り口壁面 Photo by Kenichi Tsuboi

東京国立博物館平成館で9月21日まで開催されている特別展「江戸☆大奥」は、江戸城内に実在した徳川将軍の後宮である「大奥」の歴史を立体的に描いた初めての展覧会だ(会期中に一部展示替えあり)。大奥を舞台にした演劇、映画、テレビドラマ、漫画は近年も非常に多い。本展は、華美で秘密めいた印象の強い大奥を、実際の資料や絵画、衣装などによって実像に迫る展示・構成になっている。この夏、必見の展覧会として推しておこう。(コラムニスト 坪井賢一)

よしながふみ「大奥」と
山村東「猫奥」で招き入れられると…

 JR上野駅の公園口を出て、アスファルトの照り返しの中を「さくら通り」まで歩き、右手の大噴水方面へ行くと正面に見えるのが東京国立博物館の本館だ。フライパンの上を歩いているようなものだから、暑いなんてものではない、痛いくらいだ。平成館は本館の左手奥なので、駅から10分はかかる。ようやくたどり着くと、平成館はひんやりしていて快適だった。

 特別展「江戸☆大奥」の主催は東京国立博物館とNHK、NHKプロモーション。平成館2階へ上がり、第1会場に入って右手背後を振り向くと、よしながふみ氏の漫画「大奥」(白泉社)と、山村東氏の漫画「猫奥」のカットが大きく拡大されている。

 前者は男女を逆転させた歴史SFで、NHKが2023年に実写ドラマ化している(この8月17日と18日に再放送予定)。後者は「御年寄」(大奥大幹部)の謹厳実直な滝山の生活を、猫とのユーモラスなやりとりで描く「モーニング」(講談社)で連載中の作品だ。

 近年の漫画作品のカットで招き入れられると、続いて大奥の歴史的著名人らの肖像とNHKドラマの美麗な衣装が出迎える。豪華絢爛たる本物の衣装、刺繍小袖、搔取、髪飾りなどが多数展示され、大奥の物資の豊かさがわかる。

この夏に絶対行きたい!特別展「江戸☆大奥」の見どころ解説【写真多数】よしながふみ「大奥」と山村東「猫奥」のカットと著名大奥の肖像 Photo by Kenichi Tsuboi