八木にとって嵩の存在とは?
北村匠海さんと再び共演して思うこと
――その後、第16週で嵩と再会を果たしました。八木は嵩をどのように見ていると思いますか? 演じる北村さんの印象も教えてください。
八木はあまのじゃくなので、素直に感情を表現できない人間ですが(笑)、再会できてやっぱりうれしかったと思います。何よりもうれしかったのは、嵩が変わっていなかったこと。おっちょこちょいなところも含めて、彼のずっと持っているピュアさというのは魅力的ですし、八木にはないものを持っていることが、少し羨ましくもありますね。
僕は、嵩って意外と周りの人をどんどん輝かせていく人物だと感じていて。こういうピュアな人間が、世の中を明るくしていくんじゃないかなと思います。
匠海は、いつもフラットで、力が抜けていて、僕は彼のたたずまいが大好きですね。役をどう演じるかということではなく、もう嵩としてそこに存在しようとしている。そんな匠海のお芝居がすばらしいなと思いますし、自然に引き込まれて感動する場面がたくさんあります。
昔、『ブタがいた教室』という映画で共演したときは、僕が教師役で、匠海は生徒役。当時、匠海は小学校4年生でした。僕は次に彼とお芝居をするときには、彼の演じる役を支えるような役がいいなと思っていたので、今回その願いが形になって、本当に感慨深いです。
静かだけれども、心には熱いものを持っている。そんな彼の魅力が、今回の役に反映されていて、僕もすごくうれしいですね。
――第21週では、八木が戦争で家族を亡くした過去が明かされました。
もともと演出の方から、そういった背景は聞いていました。八木は、大事な家族を失ったからこそ、目の前にある命の尊さを感じていて。少しでも支えになれるのであれば、自分はいくらでも犠牲になろう。そんな思いで、ガード下の戦災孤児たちを助けていたのだと思います。
さまざまな経験を経て、新たに会社も設立しましたし、今後八木がどういったものを人々に届けていくのか。僕も楽しみにしています。
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妻夫木さんの「静かに本質を見極められる人ですね」という八木評。まさにである。
「どんなに無様でもいい。生きていれば報われる」。漫画が好きで書きたいけど評価されない。それでも諦めきれない。頼まれた仕事を引き受け続け、漫画一本に絞れない。それでも「生きていれば報われる」。
ほんとうにそうだといいなと思う。