本当にそれで大丈夫?」「こうしたほうがいいんじゃない?」そんなふうに言われてしまうことはありませんか? 「なぜいつも、干渉されるんだろう……」と悩んだとき、私たちはどうすればいいのでしょうか?
累計20万部を超えるベストセラー著者、林健太郎氏が執筆した『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から「しんどい相手」「心地よい人」に変わる、いい距離感を保つためのコミュニケーションを本記事で紹介します。

「話を聞いてほしい」とき、感じのいい人が「絶対にやらないこと」Photo: Adobe Stock

勢いのまま話し始めない

思わぬ言葉が「呼び水」になり「干渉」されてしまうケースもあります。

例えば、コーチングの直後によく発生するのが、こんなシナリオです。

コーチと対話をすると、自己理解が深くなります。

気づかなかった自分の一面や、隠れた可能性を発見することが増えます。

そうしたうれしい発見は、誰かに言いたくなるものです。

勢いに任せて、次のように家族や友人に熱く語ってしまいます。

「ねえ聞いて! 大発見しちゃった。私って実はかなり自由奔放なタイプだったの」

聞かされた相手は、思わずつっこみます。

「今頃何言ってるの? 君は自由過ぎて、毎日振り回されてるよ。だいたい君は人の気持ちがわからないっていうか……」

きつい指摘を受けて、新発見の喜びは消滅。かなりうかつな呼び水です。

相手と自分の間には、見え方のギャップが必ずあります。夫婦などの近しい間柄では、「知らなかった自分」を相手が先に知っていることも多々あります。

無防備に喜びを語るのは、相手につっこんでくださいと言うようなものです。

もう一例挙げましょう。新発見の内容が「可能性が広がるキャリアプラン」だった場合、その可能性を摘まれる危険があります。

「僕、わかったんだ。勤め人よりも自営業のほうが向いているし、今の仕事よりも○○のほうが断然興味があるって。転職して、将来的には独立しようと思うんだ」

「何言ってるの? これから教育費やら何やらでお金もかかるじゃない。今の年収より下がったらたいへんだし。いきなり妙な夢、語らないでよ」

あなたもこんな風に、勢いを削がれたことはありませんか?

もし覚えがあるなら、呼び水になるような発言はやめましょう。

そう書くと、「つまり、黙っておけということ?」と思う方もいると思います。

黙っておくのも一つのアイデアですが、それではあなたが消化不良に陥りそうです。

ここで身につけて欲しいのは、「自分の勢いが削がれない話し方」のデザインです。

「知ってた?」と問い掛ける言葉で締める

その話し方のデザインとはどのようなものなのでしょうか?

一つ事例を挙げてみます。

私とのコーチング中に新発見のあった方には、必ずしてもらう作業があります。

「この発見、すばらしいですね。きっと、家族に今すぐ言いたいですよね?」

「はい! そりゃもう!」

と意気込むお客様に私からさらに問い掛けます。

「ちなみに、今日の発見をどう伝えますか?」

こんな問いによって、お客様は洞察を深めていきます。そして、こんな提案をしてみます。

「それを、ご家族に一緒に喜んでもらえたり、応援してもらえたりする言い方に変えてみてください」

と「言葉のデザイン」をすることで、最終的に相手に伝わりやすい言い方にアレンジしてもらうのです。

先の二例なら、こんなふうに変えられます。

「『今頃?』って言うかもしれないけど、私ってかなり自由奔放なタイプだったんだね。わかってなかったよ……。あなた、前から知ってた?」

「知ってたよ! そうか、自覚なかったのか。わかって良かったじゃん」

「僕、勤め人より自由業が向いてて、今している仕事より○○がしたいんだ、って気づいたんだ。君からはどう見える? 僕のそういう面、気づいてた?」

「そうね、今の仕事が合ってないんだな、とは思ってた。そうかー、気づいちゃったのね。これからのことは一緒に考えようか」

相手からの見え方を想像しながら、「知ってた?」「気づいてた?」と、問い掛ける言葉で締めるのがポイントです。

これは、相手の不安を軽減する仕組みです。思いを聞いてもらえる状況が確保されていれば、相手が性急に否定的な反応をすることはありません。

意見が一致していないときでも、平和的な話し合いができるでしょう。

(本記事は『なぜか干渉される人 思わず干渉してる人 あの人と「いい距離感」を保つコミュニケーション術』から一部を抜粋・編集して掲載しています)