株式市場で意識され始めた「トランプ不況」、“アンチビジネス”路線に強まる不安Photo:Andrew Harnik/gettyimages

日米で株価急落、不安定化
トランプ関税のマイナス効果懸念

 米株式市場はS&P500株価指数やダウ工業平均、ナスダック指数などの主要指標が3月10日に急落して以降、その後も軟調が続いている。

 とりわけ10日は、テスラや半導体大手エヌビディア、メタなどハイテク株の急落が目立った。

 米国株価との連動性が高い日本株だが、日経平均株価も11日には、一時、3万6000円台を割り、その後、3万7000円台には戻ったものの不安定な基調は変わらない。

 トランプ新政権発足前には、トランプ大統領はビジネスマンだから、経済を失速させることはないし、米株価も上昇するといった思惑が強かった。しかし、就任から2カ月近くが経って、その期待感は完全に打ち砕かれた感がある。

 とりわけ「トランプ2.0」の“アンチビジネス”路線を強く意識させるのが、政発足後、矢継ぎ早に打ち出された関税政策だ。

 中国に対する制裁関税だけでなく、すべての国を対象にする「相互関税」や、鉄鋼・アルミ、自動車、半導体などがターゲットにされた。欧州では対抗して米製品に対する報復関税が打ち出されており、さながら貿易戦争の様相だ。

 米国は4月2日には各国に対する「相互関税」の具体的な措置を明らかにする方針で、これに対して日本も含め関税引き上げの停止や例外措置を求める動きも活発化しているが、おそらく、1月20日の就任から100日目に当たる4月末まではトランプ大統領強硬路線を大きく修正することはないだろう。

 トランプトレードから「トランプ不況」へと流れが変わる懸念が強まる。