
米国の雇用市場は冷え込み、関税率は上昇している。しかし、企業は依然として堅調なようだ。
ドナルド・トランプ大統領が4月に輸入品への関税賦課を発表したことで、企業決算の見通しは下方修正されていたが、S&P500種構成企業の直近の業績は利益と売上高がともに市場予想を大幅に上回っている。調査会社ファクトセットによると、4-6月期の企業利益は前年同期比で約12%増と、7月初旬のアナリスト予想の5%増を大きく上回るとみられる。
増益の大半はハイテク企業がけん引しているが、経営者らは今春時点に比べて景気に楽観的だ。アルファセンスによると、「リセッション(景気後退)」という言葉が用いられた企業決算の電話会議は84%減少している。
こうした状況は、主要株価指数を過去最高値に押し上げている。S&P500種指数は4月の安値水準から29%上昇し、年初来では9.7%上昇している。
最近の経済指標はまちまちで、雇用統計は期待外れの内容となった一方で、失業保険申請件数は減少し、小売売上高は堅調に推移している。先週発表された二つのインフレ統計は、消費者物価指数(CPI)が心強い結果となった一方で、卸売物価指数(PPI)は懸念すべき数字となり、相反する内容だった。
ただ、一部の投資家は企業業績が好調な限り、投資を続ける公算が大きい。決算シーズンの締めくくりとなる今週は、米ホームセンター大手ホーム・デポや小売りチェーン大手ターゲット、小売り最大手ウォルマートなどの米主要企業が決算発表を控えており、投資家にとっては消費者の健全性を確認する良いタイミングとなる。
投資助言会社カーソン・グループのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ソヌ・バルギース氏は、企業は意外なことに「ある意味で2月や3月よりも良い方向に向かっている」と述べた。