株の「信用取引」でマイナスがあることを知らずに
一定期間が経過すると、相続放棄もできなくなる!

【Q】株や投資信託はどうやって引き継ぐ?

 まずはサポートダイヤルに電話してください。亡くなった方の口座が特定できましたら、相続手続きに必要な書類を送ります。例えば、亡くなった方が松井証券の口座に株を保有されていた場合は、原則として相続人の方も、松井証券で口座の開設が必要です。(松井証券顧客サポート部)

【Q】NISA口座は引き継げる?

 亡くなった方のNISA口座は、相続人がそのまま引き継ぐことはできません。NISA口座の保有株は、まず亡くなった方の課税口座に移され、そこから相続人の課税口座に移管されます。(松井証券顧客サポート部)

 NISA口座の株を相続する際は、株の取得価額は亡くなった日の時価に再設定されます。そのため、株を購入してから亡くなった日までの含み益は非課税となります。この点で、NISA口座での運用は、相続人にとっても大きなメリットがあります。(前田)

【Q】自分のiDeCo、死んだらどうなる?

 iDeCo(個人型確定拠出年金)で運用していた投資信託などは現金化され、死亡一時金として遺族に支払われます。(松井証券顧客サポート部)

 iDeCoの死亡一時金は、「死亡退職金」として基礎控除と別の非課税枠があります。相続人全体で「500万円×法定相続人の人数」が非課税枠になります。(前田)

【Q】信用取引やFXをやっていたら?

 信用取引をしていた場合、その建玉(未決済の信用取引)は決済されます。松井証券では、亡くなったとの連絡を受け、提出された戸籍謄本などを確認し、死亡日ではなく死亡の事実が確定した後に、松井証券のほうで決済を行います。FX口座も信用取引と同様の扱いです。(松井証券顧客サポート部)

 信用取引は資産がゼロになるだけでなく、マイナスになるリスクがある取引です。万が一に備えて、家族に信用取引をしている事実だけでも伝えておきましょう。

 もっとも危険なのは、信用取引による借金を抱えたまま亡くなるケース。ご家族がその事実を知らないと、その借金を背負ってしまうことになります。相続放棄という選択肢もありますが、これには3カ月以内という期限があるため、借金の存在に気づかないまま期間が過ぎると放棄できなくなる可能性があります。(藤川)

【Q】暗号資産の相続は株と違う?

 暗号資産の相続税は、亡くなった日の時価を評価額として算出されます。株とは異なり、前月の平均値などから選択することはできません。また、含み益のある暗号資産を相続し、それを売却する時には、売却益に課税されます。暗号資産の売却益は、株と違って「雑所得」です。

 給与所得などほかの所得と合算して課税され、所得税は5~45%の累進課税です。これに住民税10%が加わるため、最高税率は合計55%です。含み益が大きい場合は要注意です。(坂本)