初めての子育て夫婦写真はイメージです Photo:PIXTA

初めての育児は、誰にとっても不安でいっぱいだ。しかし、2人目以降はそうではないと子育て経験者が口を揃えて言うのはなぜだろうか?米国人人ジャーナリストが、育児で変化する人間の脳を解説する。※本稿は、チェルシー・コナボイ(著)、竹内薫(訳)『奇跡の母親脳』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

2人目以降の育児が
比較的楽になる理由

 ほとんどの親では最初の数週間の強い没頭感は産後4カ月あたりから減少し始める。

 その頃になると微笑み返したり、バブバブ声を返してくれるようになった赤ちゃんを育てていく自信もつき、前向きな考えが増えてくる。

 一般的に、2人目以降の育児では没頭しすぎたり心配を膨らませすぎないことが報告されている。2人目以降の子供に何を期待すべきか、意識的にはっきり理解しているだけではない。それも一因だろうが、2人目以降の育児は神経生物学的に脳の働き方が異なっているのだ。

 子育ての経験が快適に変化していくのと同様、出産を経験した親の脳の活動も変化していくと考えられている。最初は警戒心や用心深さに関わる扁桃体などの領域が活発だが、やがて内側前頭前皮質を含む感情調整に関わる領域へと活動の中心が移っていく。

 現在、マサチューセッツ大学を拠点とするペレイラとジョアン・モレルはラットの研究で、産後期間が進むにつれて母性反応が脳内で「分散化」され、より多くの脳領域が関与するようになることを発見した。

 他の変化の中でも、特に内側視索前野は時間と共に変化していくように見える。母親が柔軟に反応できるようにという目的は変わらないが、手段が変わってゆく。