写ルンです

自撮り(セルフィー)はもちろん、動画を撮ることにも慣れているZ世代ですが、「どうしてこんなことを?」という流行もあります。例えば極端に顔を加工して宇宙人のような顔にしたり、少女マンガのような大きくて星がキラキラな瞳にしたり……スマホがあるのにわざわざプリントシール機で撮ったり、懐かしの「写ルンです」で写真を撮る若者もいます。大人からすると謎でしかないいろいろな行動と、その納得の理由を説明します。(ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー 鈴木朋子)

「プリクラ」登場から30年が過ぎた

 若者がスマホで自撮りをする際の「顔隠し」やアプリ加工の変遷について、前回の記事でご紹介しました。本稿ではプリントシール機(いわゆる「プリクラ」)やSNSアプリによる加工や、若者が使うスマホ以外の撮影機器について解説していきたいと思います。

 皆さんはプリントシール機で撮影したことがありますか?「若者に人気」というイメージが強いプリントシール機ですが、実は2025年7月に30周年を迎えています。青春時代をプリントシール機と過ごした世代も、もうすっかり大人ですね。

 プリントシール機1号機は、セガから発売された「プリント倶楽部(R)」(セガ/アトラス)で、「プリクラ(R)」の愛称で親しまれるようになりました。その後、フリューなどの企業も参入し、1998年には全身を映すことができる「全身プリ」、1999年には美白ブームに乗じたプリントシール機などが人気となりました。撮影したプリントシールを手帳に貼る「プリ帳」作りもブームとなり、プリントシールは女子高生の青春に欠かせないマストアイテムになりました。

プリントシール機の進化プリントシール機は時代とともに進化してきました(出所:フリュー

スマホで自撮りできるのに、お金を払ってプリントシール機を使う理由

 スマホが浸透した今でもプリントシール機の人気は衰えず、今も1回400~500円ほどの料金を支払ってプリントシール機を利用しています。撮影したプリをすべてダウンロードするためには有料会員に加入する必要もありますが、それでも若者たちは日常的にプリントシールを撮影するのです。

 プリントシールが人気である理由は、プリントシールならではの加工にあります。プリントシール機で撮影した写真は、ひと目で「プリ」とわかる、大げさな加工が施されます。「こんなに目が大きい人はいない」「宇宙人みたい」などと大人は思いますが、若者は加工で理想の自分を作り出しています。決して、プリの顔が自分だと勘違いしているのではありません。憧れの自分を作り、うまく盛れた様子をみんなに見てほしいのです。