令和の処世術は「三本の矢」に学べ
自分を知り、相手を慮る。それはまさに、戦国の知将・毛利元就が説いた組織論にも通じるものがあります。
元就が三人の息子たちに「一本の矢は容易に折れるが、三本束ねれば容易に折れぬ」と団結の重要性を説いた有名な逸話は、現代のコミュニケーションにも大きな示唆を与えてくれます。
飲み会の場に集うメンバー一人ひとりは、まさに「一本の矢」。アルコールへの強さ、好み、その日の体調といった特性は、人それぞれ異なります。
その多様性を無視して画一的な飲み方を強いることは、弱い矢を折り、束としての力を損なうことに他なりません。
一献の先に「百万一心」を築く
飲める人は自分のペースで、飲めない人はソフトドリンクで。それぞれの「矢」が持つ個性を尊重し合うことこそが、チームという「束」をより強固にします。
自分の体質を理解し、スマートに伝える勇気。そして、相手のあり方を受け入れる思いやり。
この相互理解こそが、元就が理想とした「百万一心(皆が心を一つにすること)」の精神へとつながり、無用なトラブルを避けるだけでなく、組織全体の結束力を高めるという大きなメリットをもたらすのです。
お酒との上手な付き合いは、あなた自身の評価を守る最高の盾であり、チームの力を引き出す最強の矛にもなるでしょう。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。