
英語は、「時間をかければ身に付く」というわけではありません。長時間の努力よりも、「使い回せる型(パターン)」で覚えるほうが、圧倒的に効率がいいです。今回は、英語学習に割く時間がない人こそ実践すべき、「型」による英語習得のアプローチを教えます。(シンプルイングリッシュ提唱者 酒井一郎)
努力派のAさんと、実用重視のBさん
なぜ「英語力に差」が付くのか
Aさんは、毎朝の通勤時間を使って英単語を覚え、週末には英会話のレッスンを欠かさない。真面目でコツコツ型のAさんは、英語の習得に対しても真正面から取り組んでいた。
しかし、いざ社内の英語会議になると、言いたいことは頭にあるのに、英語が口から出てこない。そんなモヤモヤを抱えていたある日、Aさんは同じ部署のBさんに声をかけた。
「Bさんって、どうしてそんなにスラスラ英語が出てくるんですか? 海外の担当者とも普通にやりとりされてますよね?」
「うん、実はあんまりちゃんと勉強したことないんだよね。型で回してるだけだから」
Bさんが言う「型」とは、ビジネス英語においてよく使われる定型表現のことだった。
「いちいちゼロから文を組み立てるんじゃなくて、よく使う形を覚えて、それに必要な単語を当てはめるだけなんだよ。考える時間が減る分、すぐ話せるようになるよ」
Bさんのように、基本の型を10個ほど覚えておくだけで、大半のビジネス会話は可能だ。まず、以下の5つの型を徹底的に使ってみよう。
●Could you ~ ? (~していただけますか?)
●Let me ~. (~させてください)
●I’m afraid ~. (恐縮ですが?)
●That sounds ~. (~のように聞こえますね)
●How about ~ing ? (~するのはいかがでしょうか?)
なんだ、中学英語のレベルじゃないか、と侮るなかれ。これらの型に、動詞や名詞を差し替えるだけで、自然で実用的なフレーズに変化する。
例えば「Let me」だけでも、下記のようにビジネスシーンで柔軟に展開できる。
●Let me confirm with my team.(チームに確認させてください)
●Let me check.(確認します)
●Let me explain.(ご説明させてください)
ビジネスシーンで臆することなく英語を話せる人は、文法をしっかり覚えるというよりも、型を運用する感覚を持っている。悩む前に、型を覚えて徹底的に使い倒す。これが、実務で英語を武器にするための最短ルートだ。ネイティブだって、実際は同じ型を何度も使って回している。例えば下記のフレーズ。