
英語は、「時間をかければ身に付く」というわけではありません。長時間の努力よりも、「使い回せる型(パターン)」で覚えるほうが、圧倒的に効率がいいです。今回は、英語学習に割く時間がない人こそ実践すべき、「型」による英語習得のアプローチを教えます。(シンプルイングリッシュ提唱者 酒井一郎)
努力派のAさんと、実用重視のBさん
なぜ「英語力に差」が付くのか
英語力を高めようと努力を続けているAさんは、毎朝の通勤時間を使って英単語を覚え、週末には英会話のレッスンを欠かさない。真面目でコツコツ型のAさんは、英語の習得に対しても真正面から取り組んでいた。
しかし、いざ社内の英語会議になると、なかなか発言ができない。言いたいことは頭にあるのに、英語が口から出てこない。そんなモヤモヤを抱えていたある日、Aさんは同じ部署のBさんに声をかけた。
「Bさんって、どうしてそんなにスラスラ英語が出てくるんですか? 海外の担当者とも普通にやりとりされてますよね?」
すると、Bさんは笑ってこう答えた。
「うん、実はあんまりちゃんと勉強したことないんだよね。型で回してるだけだから」
Aさんは目を丸くした。「型?」
Bさんが言う「型」とは、ビジネス英語においてよく使われる定型表現のことだった。「Let me explain(ご説明させてください)」や「Could you clarify that?(もう少し詳しく教えていただけますか?)」といった、使い回しが利く表現だ。
「いちいちゼロから文を組み立てるんじゃなくて、よく使う形を覚えて、それに必要な単語を当てはめるだけなんだよ。考える時間が減る分、すぐ話せるようになるよ」
英語が自在に話せる人は、実はゼロから英文を組み立てているわけではない。Bさんのように、基本の型を10個ほど覚えておくだけで、大半のビジネス会話は可能だ。