「やまと言葉」は、とても柔らかく優しいイメージを与えるのですが、その反面、見た目も声も優しい女性が多く使いすぎると、ベタベタな印象になるので注意も必要。男性中心のプロジェクトを率いる女性上司なら、「がんばろうね」より「期待してるよ」と言ったほうが、断然、凜々しくてカッコいい。
つまり、激励するときや甘えてほしくないときは「漢語」で、仕事が終わったときなど、ねぎらうときは「やまと言葉」で、という使い分けがベストです。
ちなみに、「お疲れさま」「おはよう」などの挨拶は、基本的に「やまと言葉」です。これらは、場の一体感をつくり出す大事な呪文。夫婦や親子でも、ちゃんと言い合ったほうがいいですよ。
「失礼しました」は
かえって相手の心を遠ざける
それから、仕事場で謝る場合、「失礼しました」は使わないことです。
シツレイは、息をこすりだす音を二音重ねて(「し」「つ」)、相手との間に即座に距離を作りだすワード。しかも、上あごを強くこするこの二音は、口腔(こうくう)の表面温度を下げます。続く「れ」も、発音するときに舌の裏を空気にさらし舌裏の温度を下げるので、冷たい音が続いているのです。
社長室に入るときの「失礼します」は、この冷たい距離感が、入りにくいところをあえてお邪魔いたします、と言う「畏れ多い感じ」を醸し出すのでOKなのですが、謝るときにこのワードを使うと、相手を拒絶している感じが伝わります。
実際、謝ることに納得していないとき、あるいは相手を快く思っていないとき、このワードを口にしがち。相手にも、語感でそれが伝わります。気をつけてね。
謝らなければならないときは、「すみません」か「申し訳ありません」を使いましょう。
ただし、スピードが必要なときに「申し訳ございません」だと、もたもたしている感じで、相手をイライラさせます。会議で、「資料の部数が足りない、すぐにコピーしてきて」と言われたら、「すみません」と走り出してください。
謝る代わりの「ありがとう」が
その場の空気を優しく変える
謝るときにストレスがあるようなら、謝るのをやめるという手があります。深刻なトラブルが起きる前のダメ出しなら、「すみません」を「ありがとう」に換えてしまえばいいんです。
「見積書に○○が入ってなかった。気をつけて」のような業務上のダメ出しには「ありがとうございます」と返します。正確には「気づいてくださって、ありがとうございます」の意味だけど、気づくのが上司の仕事なので、わざわざ言わなくても大丈夫。