この課題に取り組むために、集合住宅の駐車場の新しい使い道を考える際にとくに相性が良い発想の切り口と、通常は組み合わせにくいと考えられるものを選び、それぞれについてアイデアを提案します。
相性が良いと思われる発想の切り口
6.他にも使えるようにする
駐車場をマルチユーススペースに転換する。たとえば、週末にはフリーマーケットや地域のイベントスペースとして利用し、平日はカーシェアリングのステーションや電動自転車のレンタルスペースとして活用する。
15.いろいろな形にできるようにする
モジュラー式の仕切りや可動式のカバーを使って、駐車場を様々なサイズや形のイベントスペースに変えられるようにする。こうすることで、小規模なワークショップから大規模な屋外映画上映会まで、多目的に対応できるようになる。
20.続けられるようにする
駐車場を都市農園やコミュニティガーデンに変える。これは、地域住民が自分たちの食品を栽培できるスペースを提供すると同時に、コミュニティの結束を強化し、継続的な活動を促進する。
組み合わせにくいと思われる発想の切り口
10.後で必要になるものを付けておく
将来的に駐車場が再び必要になる可能性を考慮して、可動式の植物ベッドや取り外し可能な設備を設置する。これにより、必要に応じて簡単に元の駐車場に戻すことができる。
14.くるくる回るようにする
駐車場のスペースを利用して、回転式のアート展示や屋外の回転レストランを設ける。このようなユニークな体験は、人々を惹きつける可能性があるが、実現にはかなりの技術的挑戦が伴う。
37.温めて膨らませたり、冷やして縮ませたりする
季節に応じて屋外空間の温度を調節するための仕組みを導入する。たとえば、夏は冷やして快適な屋外映画鑑賞スペースを提供し、冬は温めて屋外のリビングルームのような空間を作る。このアイデアは実現可能性に挑戦があるが、駐車場を年間を通して快適に利用できるようにする。
これらのアイデアは、既存の駐車場を再考し、地域社会にとってより価値のあるスペースに変えることを目指しています。相性が良いと思われる切り口からは、実用性と地域のニーズに応えるアイデアが、組み合わせにくい切り口からは、より創造的で実現にあたって挑戦が必要なアイデアが生まれます。
相性の良い切り口からは「駐車場をマルチユーススペースに転換する。たとえば、週末にはフリーマーケットや地域のイベントスペースとして利用し、平日はカーシェアリングのステーションや電動自転車のレンタルスペースとして活用する」というアイデア。使った切り口は「6.他にも使えるようにする」でした。
相性の良いアイデアゆえに、すでに実現していますね。マンションの駐車場がカーシェアに転用され始めています。でも「フリーマーケット」からさらに連想して、「キッチンカーの営業場所」といった可能性も感じます。住人との折衝はあるでしょうけど、自宅で仕事をする人が増えているなかで、飲食店の少ない住宅街でのキッチンカーはニーズがありそうです。
組み合わせにくい切り口からは、「将来的に駐車場が再び必要になる可能性を考慮して、可動式の植物ベッドや取り外し可能な設備を設置する。これにより、必要に応じて簡単に元の駐車場に戻すことができる」とのアイデアが。使った切り口は「10.後で必要になるものを付けておく」。
回答そのままでアイデアとして通用するかどうかはケースバイケースですが、人間の知恵を加えていけばアイデアの精度は高まります。「仮設トランクルームにする」「仮設トレーニングジムにする」などのアイデアも思いつけるでしょう。
発想のパターンが40もあるので、使っていないものがまだまだ残っています。もっと違ったアイデアがあるはずと思ったなら、遠慮なくAIに追加で質問です。
その他のアイデアはありますか?
最初のインプットでTRIZの40パターンが記憶されているので、2回目以降はシンプルな問いかけで充分にワークします。
集合住宅の駐車場を再利用するための追加のアイデアを考える際、残りの発想の切り口からインスピレーションを得ることができます。以下に、新たなアイデアをいくつか提案します。
相性が良いと思われる発想の切り口からのアイデア
29.空気や水がものを押す力を使う
駐車場を屋外のインタラクティブな水遊び場に変える。水の噴水や霧のシステムを設置して、とくに夏の暑い日に家族連れや子どもたちが涼める場所を提供する。
32.色を変える
駐車場の地面にカラフルなアートワークやゲームのデザイン(たとえば巨大なゲーム盤や迷路)を描くことで、一般の公園や遊び場として再利用する。これは地域コミュニティを活性化させ、人々を引き付ける楽しい空間を作り出すことができる。
35.温度や柔らかさを変える
駐車場を屋外のフィットネスエリアやヨガスタジオに変換し、特別なマットやカバーを敷いて、運動中の快適性を高める。これは健康意識の高い地域住民に魅力的なオプションを提供する。
組み合わせにくいと思われる発想の切り口からのアイデア
1.半分に切る
駐車場を半分に分け、一方を緑地や公園に、もう一方を屋外カフェやポップアップストアのスペースにする。このアイデアは、商業とレクリエーションのスペースを組み合わせることで、異なる目的の利用者を引き付ける。
3.似ているもののなかでどこか1つを変える
伝統的な駐車場の概念を踏襲しつつ、一部を変更して電動車両の充電ステーションを設置する。これにより、エコフレンドリーな車の利用者を支援し、環境意識の高いコミュニティを形成する。
2.バラバラにして使えるようにする
駐車場スペースを個々のモジュールに分割し、それぞれを異なるアクティビティや用途に割り当てる。たとえば、一部をアーバンガーデニング用に、別の部分をストリートアートの展示スペースに、そして別の部分を子どもの遊び場にする。この多様性は、広範なコミュニティのニーズに応えることができる。
これらのアイデアは、駐車場のスペースを再活用し、地域社会に新しい価値を提供するためのさまざまな方法を示しています。
創造性と地域のニーズに応じて、これらのアイデアは実現可能性を評価し、さらに発展させることができます。
「駐車場の地面にカラフルなアートワークやゲームのデザイン(たとえば巨大なゲーム盤や迷路)を描くことで、一般の公園や遊び場として再利用する」というアイデアは、平面駐車場ならアリかもしれません。
「地域コミュニティを活性化させ、人々を引き付ける楽しい空間を作り出すことができる」というのも良い視点で、小さい子どもがいる世帯に人気の物件になりそうです。子育て世代にかぎらず、いろんな属性の人が「ここに住みたい」と思う可能性を感じます。
40ものパターンを暗記することはできませんが、技法「工夫のパターン」をコピー&ペーストすれば時間も労力もショートカットしてアイデアを手にすることができます。
技法その13「工夫のパターン」、ぜひ活用してみてください。
(本稿は、書籍『AIを使って考えるための全技術』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。この他にも書籍では、AIを使って思考の質を高める56の方法を紹介しています)