親子や夫婦間で意見が食い違うときもあるでしょう。そういうときこそ、図1図2のシートをもとに、我が家の「受験軸」と比べて対話を重ねてみてだくさい。ただし、子どもの「なぜかわからないけれど、この学校は気に入った」「なぜか雰囲気が嫌だなと感じてしまう」といった直感は、結果として当たることが多いので大事にしてあげてください。

中学受験において、「究極のやる気の源」になるのは何か?

 中学受験においては、お子さん自身が「ぜったいこの学校に行きたい」という強い思いがあればこそ、合格につながるということもあります。

『〈中学受験〉親子で勝ちとる最高の合格』書影『〈中学受験〉親子で勝ちとる最高の合格』 中曽根陽子著 青春出版社刊 1925円(税込)

 野球少年のA君の場合、6年生の夏に慶應義塾高等学校が甲子園で優勝したのをきっかけに「絶対に慶應に行きたい!」と強く思うようになったそうです。しかし、A君の当時の成績は偏差値的には15ほど乖離(かいり)があったとか。親御さんはA君にのびのびと野球に打ち込ませたくて中学受験を考えましたが、突然、本人の志望校が大きく変化して驚いたそうです。それでもあきらめさせることなく、A君の気持ちを尊重して模試の成績よりも苦手科目の克服に集中して勉強に寄り添ったそうです。結局A君は、慶應中学にだけ合格しました。「自分で決める」ことこそが、究極のやる気の源であることがよくわかります。

 子どもの意見を即座に否定することなく、まずはじっくり耳を傾けて話を聞くこと。中学受験という家族全員で取り組むべきプロジェクトで親子のあつれきがうまれてしまうのは大変残念なことです。実際、中学に入学後のお子さんに話を聞くと「受験中は親との関係が悪く、顔を合わせるのが嫌だった」という話はしばしば出てきます。

 そうならないためにも、ぜひ前回紹介した対話シートや先ほどの特色比べの図表を活用してみてください。親子・夫婦、それぞれの意見の共通項を見つけながら、子どもが6年間、毎日楽しく通える学校を選びたいものです。

※本文中の図表はすべて中曽根氏の著書『<中学受験>親子で勝ちとる最高の合格』(青春出版社)をもとに編集部で作成