社会的な「成功レール」の崩壊、どんどん不確実になる未来、SNSにあふれる他人の「キラキラ」…。そんな中で、自分の「やりたいこと」がわからず戸惑う人が、世代を問わず増えています。本連載は、『「やりたいこと」はなくてもいい。』(ダイヤモンド社刊)の著者・しずかみちこさんが、やりたいことを無理に探さなくても、日々が充実し、迷いがなくなり、自分らしい「道」が自然に見えてくる方法を、本書から編集・抜粋して紹介します。

世界を広げる過程でやってはいけないこと
「やりたいこと」がない人が、自分の進むべき道を見つけるためのファーストステップは「世界を広げて強みの種に刺激を与えること」です。そのために、①世界の仕組みを知る ②世界を縦に広げる挑戦 ③世界を横に広げる挑戦というスモールステップで進めていくことを本書ではご提案しています。
なお、この「世界を広げる」過程で、気をつけたい3つのことを書いておきます。
1│「役に立つかどうか」の軸を持ち込まない
1つ目は、「役に立つこと」を見つけようとしないことです。
自分の「強み」を見つけて「道」が見えてくるまでには様々な経験が必要です。そのときに「役に立つこと」「お金を稼ぐこと」に拘ってしまうと、「これ、気になるけれど、やっぱりやめておこう」と考えて、必要な経験ができなくなります。
本当は「気になる」という気持ちが強みに関わっているのに、その気持ちを封印する行動を続けていると気になる感覚すらわからなくなります。
世界を広げる段階では、心に様々な刺激を与えることこそ大事。それこそ「ケーキを丸ごと食べる」といった、役に立ちそうもない経験もどんどんしましょう。
2│飽きても失敗してもいい
2つ目は、すぐに飽きたり挫折したりしても、間違った選択をしたとは思わないことです。たとえすぐに飽きても、一瞬でも真剣に向き合ったなら自分の中に何かが残ります。
うまくいかずに挫折しても、真剣にやったことは無駄になりません。
逆に言うと、真剣になれずダラダラやっていると、どんなに長時間関わっていても、身につくものは少ないのです。
真剣に向き合えないものについては、得るものだけ得たら早々に見切って次に行く判断をし、新たな世界を広げにいきましょう。
3│「御縁」には何らかの理由がある
3つ目は、「御縁」にも目を向けることです。
特に、自分の「強みの種」がよくわからない段階では、自分の好きなことだけに拘らず、御縁を大切にすると発見があります。
御縁は、自分1人の力では出会えないものと出会わせてくれる強力な援軍です。
御縁には「人」と「偶然」の2つのきっかけがあります。
「人」からもたらされる御縁は、周囲の人があなたに合いそうだと思ってすすめてくれたり、あなたの力が必要とされたりしてもたらされたもの。
自分では気づかない他人から見た自分の強みに基づいたものであることが多いのです。
ですから、人からもたらされた御縁は、意外に感じたものでも積極的にチャレンジしてみることをおすすめします。
ただし「相手の利益にしかならなさそう」などネガティブな感情が湧く場合は取り入れなくてOKです。
「偶然」からの御縁は、そのときは気づかなくても、後から振り返ったときに「あのときのあれがこうなるとは!」と伏線回収されることが多いです。
御縁とは不思議なもので、自分に必要な御縁はトントン拍子にうまく進み、自分に不要な御縁についてはうまく進まず立ち消えになります。
御縁に身を任せるときは、うまく進まないときに無理をしないこともポイントです。
一度は御縁を逃しても、本当に必要ならいつか形を変えて再びやってきます。
*本記事は、しずかみちこ著『「やりたいこと」はなくてもいい。 目標がなくても人生に迷わなくなる4つのステップ』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。