「お金は大切だけど、お金ばかり考えて一生を過ごしたくない」
物価上昇、株価変動など、お金の不安が尽きない時代。どうすれば、自由に豊かに生きられるのか? 娘のために「お金と投資」のアドバイスを綴った人気ブログを書籍化したのが『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』(ジェイエル・コリンズ著)だ。投資歴50年を通じて「経済的自立=人生の選択肢を持つこと」と説く著者が、時代に左右されない投資戦略と人生哲学を紹介している。
作家の橘玲氏は「お金持ちになるには、シンプルな方法がひとつあるだけ。あなたはなぜ、それをしないのか?」と評し、『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルは「美しくシンプルな本だが、人生に深い影響を与える」とコメントを寄せている。約10年ぶりに改訂となるベストセラーの本書から、その内容の一部を特別公開する。

【幸せな投資家だけが知っている】暴落しても無敵のメンタルを保つたった1つの理由Photo: Adobe Stock

時代はいつも変化が激しい

 初版を出版した2016年以降も、世界は混乱でいっぱいでした。

 インフレが再燃して金利が上昇、100年に一度の世界的な感染症の流行、その結果起きた市場の暴落。

 新しい、場合によっては恐ろしいテクノロジーもあります。ビットコインやはやされるミーム株式など新たな投機の場が人々を誘い込もうとしています。地球温暖化や新たな戦争も起きています。

 変化のスピードは今までにないものと感じられますが、実はそうではありません。世界は常に不安定で、動いています。

 個々の状況はさまざまですが、全体が混乱しているのは常態だと思います。最近の10年間は、その前の60年間と変わりがないと私は感じます。

 私たち投資家にとって、これらのことはどんな意味を持つでしょうか。

 私は1975年から2025年まで50年間投資を行ってきて、さまざまな変化をくぐり抜けましたが、S&P500(アメリカの代表的な株価指数)は年平均12.2%で成長しています。これは驚くべきことです。

 つまり、10年という時間の間には多くのことが起こり得ます。
しかし、振り返ると、本書で見ていく原則は引き続き確かなものであり続けると私は確信を深めています。

シンプルさ」は何にも勝る

 本書は、時間が経過してもその価値を持ち続けるように設計されています。私の娘を含めてこれに従う人の役に立ってきました。とくに過去の10年間はそうでした。

 私が投資してきた50年間においても、もし1975年にこれに気づけるほど私が賢ければ、そうだったはずです。

 将来のことは誰にもわかりません。しかし、ファイナンスにおいて私が知っているベストの方法はこれです。私も私の娘も実践しています。

 これは容易ではありませんでした。今ではシンプルで明白ですが、これを学ぶには苦労しなければなりませんでしたし、何十年もかかりました。

 最初の頃の娘への手紙、その後のブログ、そして本書はすべて、何が本当に機能するのか、地雷はどこにあるのか、そして実はとてもシンプルに実践できること、またシンプルであるべきだということを彼女に教えるための私の努力です。

 彼女が今後スムーズに進み続け、間違いをせずに、経済的な自由を早く苦労なく達成することが私の希望です。
 本書を手に取られたあなたにも同じことが起きることを願っています。

(本稿は、『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』を一部抜粋・編集したものです)

ジェイエル・コリンズ JL Collins

ファイナンシャル・ブロガー(ブログ「jlcollinsnh.com」主宰)
1975年から投資を行っている個人投資家。何度も転職する中で、収入の範囲内で生活するようになり、気がつけば夫婦どちらも働かなくても暮らせるようになっていた。実践したのはシンプルな投資だけ。収入の半分を投資、借金をしない、バンガード創業者ジャック・ボーグルの教えに従ってインデックスファンドに投資する。これだけで経済的自由を手に入れた。
2011年、娘宛てに「お金と投資」についての手紙をしたためる。その内容をブログに発表すると、世界中から注目されるようになる。