「お金は大切だけど、お金ばかり考えて一生を過ごしたくない」
物価上昇、株価変動など、お金の不安が尽きない時代。どうすれば、自由に豊かに生きられるのか? 娘のために「お金と投資」のアドバイスを綴った人気ブログを書籍化したのが『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』(ジェイエル・コリンズ著)だ。投資歴50年を通じて「経済的自立=人生の選択肢を持つこと」と説く著者が、時代に左右されない投資戦略と人生哲学を紹介している。
作家の橘玲氏は「お金持ちになるには、シンプルな方法がひとつあるだけ。あなたはなぜ、それをしないのか?」と評し、『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルは「美しくシンプルな本だが、人生に深い影響を与える」とコメントを寄せている。約10年ぶりに改訂となるベストセラーの本書から、その内容の一部を特別公開する。

「会社に縛られないお金」
を持つことが自由に生きる条件
経済的に自立するといっても、引退後のことではありません。私は働くことが好きで、ずっとそれを楽しんできました。
経済的自立とは、選択肢を持っているということです。何かあれば「ノー」と言える状態です。
「会社に縛られないお金(F-You Moneyの訳。いつでも仕事を辞められる状態)」を持ち、そのおかげで自由であるわけです。
「会社に縛られないお金」という言葉を知るよりもずっと早く、私はそれが必要だとわかっていました。
私の記憶が正しければ、この言葉は、ジェームズ・クラベルの『ノーブル・ハウス』(未邦訳)という小説で初めて目にしました。
小説を読んだそのときから、私の目標は「会社に縛られないお金」だと明確に定まりました。
小説では、若い女性が「会社に縛られないお金」の獲得を目指していました。それは、彼女が誰の要求からも自由でいられて、自分の望みどおりの人生を送るのに十分なお金を意味しています。
彼女の目標は1000万ドル。私から見れば、経済的自立に必要な金額よりもずっと大きな金額です。
お金を無限に稼ぐことは目的ではない
ここで、以下の「僧侶」の考え方を少し持っていれば役に立ちます。
何年もあと、2人が再会しました。でっぷり太った大臣は、やせてみすぼらしい僧侶を見てかわいそうになりました。助けようと思い、大臣は声をかけました。
「王様の役に立つ方法を学べば、米と豆しか食べられない生活をしなくて済むよ」
僧侶が答えました。
「米と豆で生きる方法を学べば、王様のためにあくせくしなくて済むよ」
ほとんどの人は、極端な2人の中間のどこかに自分を当てはめるでしょう。ですが、私は僧侶に近いほうがよいと思います。
経済的自立とは、お金を稼ぐことであると同時に、控えめに生きることでもあると気づきました。
小説と異なり、「会社に縛られないお金」は一生過ごすのに必要なお金だとは考えていません。しばらくの間、仕事から遠ざかれるだけのお金があれば十分という場合もあるということです。
(本稿は、『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』を一部抜粋・編集したものです)
ファイナンシャル・ブロガー(ブログ「jlcollinsnh.com」主宰)
1975年から投資を行っている個人投資家。何度も転職する中で、収入の範囲内で生活するようになり、気がつけば夫婦どちらも働かなくても暮らせるようになっていた。実践したのはシンプルな投資だけ。収入の半分を投資、借金をしない、バンガード創業者ジャック・ボーグルの教えに従ってインデックスファンドに投資する。これだけで経済的自由を手に入れた。
2011年、娘宛てに「お金と投資」についての手紙をしたためる。その内容をブログに発表すると、世界中から注目されるようになる。