「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.疲れているのに、ついSNSや動画に手を伸ばしてしまいます。
仕事や人間関係で疲れたなと感じたとき、本当に安まることをしたいのに、動く気力もなくついスマホを見てしまいます。自分を休めるためのおすすめの方法はありますか?
自分にとって「本当に安まることをする」
――『とっぱらう』では「本当に安まることをする」という戦術が紹介されています。これは、スマホに流されるのではなく、自分にとって心身が落ち着く習慣を見つけることが大切という戦術です。
仕事の息抜きに、ツイッターやフェイスブックなどの無限の泉アプリをチェックしたくなる気持ちはよくわかる。
でもこの手の休息は、脳のリフレッシュやリラックスにはならない。心かき乱されるニュースを読み、友人のねたましい写真を見れば、ストレスは減るどころか増えてしまう。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
井上新八氏(以下、井上氏) ぼくは70個ほどの習慣を続けていますが、その中でも毎日欠かさず読書をしています。
――え、毎日ですか?
井上氏 はい。1日1冊読むことを目標にしていて、すでに1600日以上続けています。
ただ始めたての1~2年はかなりきつかったですね。
元々そんなに本を読むタイプではなかったので、最初は「仕事の勉強のために」と思ってビジネス書を中心に読んでいました。
仕事や勉強のためではなく、「純粋に面白い」と思えるものを
――どのくらいで読書が楽になったんですか?
井上氏 3~4年目くらいから楽になりましたね。しかも、最近は小説を読むことが増えました。
新作も読みますが、子どもの頃に読んでこなかったシャーロック・ホームズやアガサ・クリスティなども、今さらですが楽しく読んでいます。
小説は純粋に「面白い」と思えるので、自然と読みたくなるんです。
――最初はビジネス書をよく読んでいたんですよね? 小説に偏り始めたのは何か理由があるんですか?
井上氏 今でもビジネス書は読みますが、一時期ビジネス書ばかり大量に読んでいたので、どうしても「これ前にも読んだことあるな」と思うことが増えちゃったんですよね(笑)。
その点、小説は物語の世界に没頭できて、読んでいるだけで気分が切り替わります。僕にとってはそれが一番安まる時間になっているんだと思います。
――『とっぱらう』の「本当に安まることをする」は、まさにそういうことですね。スマホをなんとなく眺めるのではなく、自分にとって確実に心が休まる習慣を持つこと。井上さんの場合はそれが読書ってことなのかな。
井上氏 そう思います。仕事のためではなく、ただ純粋に楽しいから読む。そういう時間があると、ちゃんと休むことができるので、気持ちをリセットすることにつながるんです。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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