「スマホを見ていたらあっという間に2時間経ってた…」「あっという間に1日が過ぎていく」。スマホやSNSが蔓延っている今、そう感じたことはありませんか?
『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の発売を記念して、年間200冊を手がけることもあるほど超人気かつ超多忙なデザイナーであり、著書『時間のデザイン』も刊行された井上新八さんに、特別に話を聞いた。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

Q.常に何かしていないと不安になってしまいます。
SNSをチェックしたり、スマホを触っていないと、なんとなく不安な気持ちになってしまいます。常に動き続けていないと落ち着かないのですが、ふと疲れを感じるときもあります。どうすれば改善できるでしょうか?
活発すぎると、集中力が急に落ちることも
井上新八氏(以下、井上氏):ぼくは本のデザインの仕事を、年間で大体180冊くらい担当しています。なので、常に40件前後の案件が並行しているんです。
それに加えて、朝ごはんを食べるまでに、70の習慣を毎日やるようにしています。
――めちゃくちゃ活発じゃないですか! ということは、完全に暇を持て余す瞬間はないということですか?
井上氏:そうですね。ただ、やることが多いぶん「時間がない」と感じることもあります。そうなると、集中力や気力が急に落ちる瞬間も出てきます。
そうならないためにも、あえて“ぼっとする”時間を意識的につくっていますね。
――それは具体的にどんな方法なんですか?
井上氏:ぼくの場合は瞑想です。
毎朝のルーティンの1つとして取り入れていて、必ずその時間を確保するようにしています。5分でも10分でも、頭を空っぽにして呼吸に集中するだけで、どんなに忙しくても気持ちを切り替えることができます。
退屈を味わえる人は、チャンスを掴みやすい
――『とっぱらう』の「退屈を味わう」は、自然に訪れる暇を受け入れるという発想ですが、井上さんの場合は違いますね。
気を散らすものがなくなると退屈するかもしれない。でも、じつは退屈はいいことだ。退屈すると心がさまよい、おもしろい世界に足を踏み入れられることも多い。
だから、今度刺激が足りないと感じたら、そのまま座っていよう。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より
井上氏:ずっと動き続けていると、脳はどんどん疲れてしまいます。だからこそ、意識的に“静かな時間”をつくるんです。
僕はスケジュールの中に瞑想を入れますし、『とっぱらう』で紹介されているように、自然に訪れる退屈を受け入れるという方法もあります。
活発に動く時間と、静かに過ごす時間を意識してバランスを取ることが、長くパフォーマンスを保つためには欠かせないと思います。
――なるほど、退屈を味わえるようになると、自然とチャンスや新しい発想も掴みやすくなるのかもしれませんね。

1973年、東京生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間200冊近くの本をデザインしている。担当した書籍は『覚悟の磨き方』『自分とか、ないから。』(サンクチュアリ出版)『運動脳』(サンマーク出版)など多数。著書の最新刊は『時間のデザイン』(サンクチュアリ出版)。
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