キッチンに当たり前にあるモノが実は必要なかった「快適すぎる暮らし」
何不自由ない裕福な暮らしから一転、49歳で無一文へ。
離婚、実家の家業倒産で家も財産も失い、預金残高はほぼゼロに。3人の子を抱えて整体師として裸一貫で人生を立て直した矢先、今度は末期寸前のがん宣告……そんな壮絶な人生を乗り越えて、70歳代の今、「毎朝、起きるのが楽しい!」と満面の笑みで語る女性がいる。『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)では、そんな著者が絶望の淵から見つけ出した、自分をごきげんにする暮らしのノウハウ【人間関係】【食事】【睡眠】【健康】【メンタル】【ファッション】【インテリア】【パソコン】と8つのテーマで初公開します。
※本稿は『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです

【もっと早く知りたかった】なくして心底よかったと思う家事の道具・ワースト1Photo: Adobe Stock

「見せない」のが、私のキッチンの流儀

普段キッチンには一切ものが出ていません。キッチンスペースには生活感を出したくないので、“隠す収納”に徹しているのです。

食器用洗剤も、小さな容器に入れ替えて引き出しにしまうという徹底ぶりです。

よく聞かれる「スポンジはどこ?」という質問

こういうと「食器を洗うスポンジはどうしているんですか?」と聞かれるのですが、そもそも私は食器洗い用スポンジというものを使いません。

代わりに使っているのが、ホームセンターの梱包資材売り場で買ってきたロール状の不織布です。ネット通販でも買えます。

【もっと早く知りたかった】なくして心底よかったと思う家事の道具・ワースト1スポンジの代わりにロール状の「不織布」をその都度ミシン目に切って使い捨てしています(写真:川瀬典子)『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)より

機能性も申し分ありません
“使い捨て”だから叶う、究極の衛生管理

30cmほどの間隔でミシン目が入っていて、けっこうな厚みがあり適度に凸凹しているので十分に水を吸ってくれますし、食器用洗剤もよく泡立ちます。

スポンジは、毎日使っていると多くの雑菌がつくと聞きます。その点、この不織布は少量ずつ使い捨てできるので、とても衛生的です。

今、ようやく手に入れた「好き」を貫ける自由

昔から片づいた部屋が好きでしたが、家族と暮らしていたころは、彼ら彼女らの事情もあって、何もかもすべて目につかないところに置くというわけにはいきませんでした。

今、自分の家を自分の好きにできる贅沢をあらためてかみしめ、つくづく「ひとり暮らしって素敵!」と感じています(ご家族と同居している方、ごめんなさい)。

驚きのコストパフォーマンスと収納性

私が愛用しているロール状の不織布。使い捨てと聞くと、少し不経済に思われるかもしれません。ですが、実はその逆です。

私が購入しているものは、数十メートル単位で巻かれており、1日1枚使ったとしても数か月はゆうに持ちます。スポンジを定期的に買い替えたり、除菌のために洗剤や熱湯を使ったりする手間とコストを考えれば、むしろ経済的だと感じています。

また、キッチンに物を置きたくない私にとって、その収納性の高さも魅力です。ロール状なので、引き出しの隙間に立てて収納できますし、必要な分だけを切り離して、小さなカゴに数枚入れておけば、調理台の上が散らかることもありません。

生活感を隠しながらも、機能性はしっかりと確保できる、まさに理想的なアイテムなのです。

掃除のハードルがぐっと下がる多用途性

この不織布が活躍するのは、食器洗いの場面だけではありません。適度な厚みと凹凸があるため、シンク周りの水滴をさっと拭き取ったり、コンロに飛び散った油汚れを洗剤なしで絡め取ったりと、まさに万能選手です。

一番のメリットは、「汚れたら気兼ねなく捨てられる」という点に尽きます。たとえば、床に醤油をこぼしてしまった時、使い古した雑巾で拭くのは少し気が引けますし、かといって新しいものをおろすのもためらわれます。

そんな時でも、この不織布なら一枚切り取ってさっと拭き、そのままゴミ箱へ。掃除への心理的なハードルが下がることで、キッチンはいつも清潔な状態を保てるのです。

食器を洗った後のまだきれいな不織布でシンクを磨き上げてから捨てる、というのを毎日の習慣にすれば、大掃除も不要になります。

「名もなき家事」からの解放

そして何より、スポンジの衛生管理という「名もなき家事」から解放されたのが、私にとっては大きな収穫でした。湿ったスポンジの雑菌や、独特の臭いに悩まされることはもうありません。

特に湿気の多い季節でも、毎日新しいものを使える安心感は、何物にも代えがたい心のゆとりをもたらしてくれます。生活感をなくすための“隠す収納”は、見た目の美しさだけでなく、こうした日々の小さなストレスを減らし、暮らしそのものを快適にしてくれる工夫なのだと実感しています。

もしキッチンのスポンジの置き場所や衛生面で少しでも気になっている方がいらっしゃれば、この「使い捨て不織布」という選択肢を、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。

※本稿は『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです