団地暮らしの達人…そりゃ毎朝楽しいわけだ
何不自由ない裕福な暮らしから一転、49歳で無一文へ。離婚、実家の家業倒産で家も財産も失い、預金残高はほぼゼロに。3人の子を抱えて整体師として裸一貫で人生を立て直した矢先、今度は末期寸前のがん宣告……そんな壮絶な人生を乗り越えて、70歳代の今、「毎朝、起きるのが楽しい!」と満面の笑みで語る女性がいる。『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)では、そんな著者が絶望の淵から見つけ出した、自分をごきげんにする暮らしのノウハウを【人間関係】【食事】【睡眠】【健康】【メンタル】【ファッション】【インテリア】【パソコン】と8つのテーマで初公開します。
※本稿は『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです

DIYの最高傑作、誕生秘話
ひとり暮らしの私は、室内にかざるアートや額縁、それに古い流し台をベースにアイランドキッチンをDIYで手づくりしたりします。
そのときに部屋や家具をワンランク上の雰囲気に仕上げる装飾パーツ(モールディング)を活用することもあります。そのモールディングがいちばん活躍したのは、“なんちゃってマントルピース”をつくったときです。
3種類のモールディングを装飾に使ったマントルピースは、今のところ私にとって手づくり品のなかでいちばんの大作になっています。

こだわりの構造と、ひと工夫の光
鏡をはめ込んだ上部と、上部を受ける下部は別々につくっています。
上部の鏡は左右の支柱用木材2本に固定。木材は鏡より上にはみ出る部分は、壁紙になじむようにライトグレーに、鏡から下の部分は黒く塗りました。
上部と下部はL字金具で連結し、鏡の裏にはシート状の照明を仕込んでいます。
長さ3メートル、自転車での珍道中
街中の視線を独り占め!
モールディングはネット通販で買ったのですが、長さが3mもあるため通常の配送はしてもらえませんでした。
所定の場所まで自転車で行き、受けとって帰ってきたのですが、すれ違う人ごとに「何を持ってるんだ、この人?」とばかりに振り返られるありさまでした。今、思い出しても笑えてきます。
デザインを考える、至福のとき
手づくりは最高のトレーニング
こうして苦心して持って帰ってきた3種類のモールディングをどう組み合わせるか、どうすればいちばん効果的な装飾になるかを考えるのは、とても楽しい作業でした。
究極の体力づくりと脳トレなのかもしれませんね。
モールディングで空間を格上げ!手軽に始める装飾アイデア
私のマントルピースのように、モールディングは木材の組み合わせを隠し、作品の完成度をぐっと高めてくれる魔法のアイテムともいえます。しかし、使い道はそれだけではありません。
例えば、ありふれたドアの枠や窓枠に沿ってモールディングを貼り付けるだけで、海外のインテリアのような重厚感を演出できます。また、殺風景な壁に四角くモールディングを貼れば、それだけでクラシックな壁面装飾(パネルモールディング)が完成。賃貸住宅でも、貼って剥がせる両面テープを使えば気軽に挑戦できます。
まずは小さなフォトフレームの装飾から試してみてはいかがでしょうか。100円ショップのフレームも、モールディングを少し加えるだけで、世界に一つだけのオリジナル作品に生まれ変わります。
「私だけの正解」を見つける、最高の脳トレ時間
DIYの醍醐味は、なんといってもデザインを考えている時間にあります。どのパーツをどこに配置するか、何色に塗るか。既製品を買うのとは違い、そこには「誰かが決めた正解」はありません。
あるのは「自分だけの正解」を見つけていく、試行錯誤の楽しみです。
頭の中で思い描いたイメージが、少しずつ形になっていく過程は、まさに脳のトレーニング。そして、苦労して完成した作品が日々の暮らしに溶け込み、ふとした瞬間に目に入るたび、えもいわれぬ満足感と愛着が湧いてきます。
失敗も愛嬌…暮らしを豊かにする「手づくりの魔法」
私の自転車での珍道中のように、DIYには予期せぬハプニングや小さな失敗もつきものです。しかし、それすらも後になれば笑い話。完璧でなくても、少し歪んでいても、それこそが手づくりの味であり、既製品にはない温かみとなります。
DIYは、単なる節約や趣味にとどまらず、自分の手で暮らしを豊かにしていく実感を与えてくれます。まずは小さな一歩から、あなたも「手づくりの魔法」で、いつものお部屋をワンランク上の空間に変えてみませんか。
その先には、きっと新しい発見と喜びが待っているはずです。
※本稿は『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです