「やりたいことがない人」でも簡単にやりたいことを見つけられる、とっておきの質問とは何か。
次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。数々の成功者に接し、自らの体験も体系化し、「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。
コロナ後の生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。
『ゆるストイック』では、新しい時代に突入しつつある今、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、「私自身が深掘りし、自分なりにスッキリ整理できたプロセスを、読者のみなさんに共有したいと思っています」と語っている。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

今日が最後の日だとしたら何をするか?
もし今日が最後の日だとしたら何をするでしょうか?
「今日が最後かもしれない」という気持ちで生きることは、人生において極めて大切な視点です。
これは、古代ローマの哲学者であり皇帝でもあったマルクス・アウレリウスが、『自省録』の中で自らに言い聞かせていた教えです。
哲学者が教えてくれること
マルクス・アウレリウスは、古代ローマ帝国の第16代皇帝であり、ストア派哲学を代表する哲人としても知られています。
彼はローマ帝国の最盛期に統治を担い、その生涯を通して「善き統治者」としての高い評価を受けました。
彼の名を今日まで伝えるもう一つの理由は、『自省録』という哲学的な日記の存在です。
この書物は、元々アウレリウス自身の内省と修養のために書かれたものであり、彼がどのような姿勢で日々を生きようとしたかが詳細に綴られています。
彼の教えは、困難な状況や逆境を耐え抜くための心構えとして現代にも影響を与え続けており、自己啓発や倫理、リーダーシップ論としても注目されています。
今日が最後の一日かもしれない
彼の哲学は、一貫して自己の内面に向き合い、周りの出来事に左右されず冷静に対処するというストア派の原則に基づいています。
アウレリウスは、権力者でありながら常に謙虚であろうとし、善き皇帝であることを追求しました。
彼の生き方と思想は、「哲人皇帝」として後世に語り継がれることになり、ローマ皇帝の中でも特に敬愛される人物として位置づけられています。
彼は、「今日が最後の一日かもしれない」という考えを持って生きることで、日々の生をより充実したものにしようとしていました。
現代に生きる私たちにも、明日が必ず来る保証はどこにもありません。
私たちが生きているこの瞬間にも、予測不能な出来事が起こる可能性があります。
時には不安定な状況に身を置かれ、未来が見通せない不安や焦燥に駆られることも少なくありません。
しかし、まさにそうした不確実な時代だからこそ、「今日が最後かもしれない」と意識することで、日常に対する捉え方が大きく変わります。
死を意識して生きると、優先事項が変わる
この考え方は、決して「命の短さ」を悲観することを意味するわけではありません。
むしろ、限られた時間の中でいかに意義ある日々を過ごすかを考え、今という瞬間に最大の価値を見出すという生き方のヒントを示しています。
マルクス・アウレリウスは、たとえその日が最後の一日であったとしても、後悔のないように行動することを自らに誓いました。
そして、実際にその考え方を実行しながら生きることで、困難な時代に精神的な安定を保っていました。
また、死を意識して生きると、人生の中での優先事項も自ずと変わっていきます。
私たちはどうしても日常生活に追われるあまり、本当に大切なものを見失いがちです。
「制約」を外して考えよう
しかし、限りある時間の中で生きていることを意識すれば、目先の利益や欲望だけでなく、「人生において本当に重要なものは何か」「自分は何を達成したいか」といった目標に目が向きやすくなります。
アウレリウスとは視点は少し違いますが、私は自分の本当の気持ちがわからなくなったときは、よくこんな質問を自分に投げかけていました。
「もし何の制約もなかったとしたら、自分は何をするだろうか?」
この質問にぱっと思いつく答えこそが、「本心」である可能性が高いです。
人間は、お金・年齢・才能・時間などあらゆる言い訳を理由にして、一歩が踏み出せないことが本当に多いです。
ただ、「何の制約もなかったら」という前置きが加わることで、潜在意識にある制約を外して物事を思考することができるようになります。
そして、この質問に対する自分の口から出る答えをすぐに実行していくだけで日々は充実していきます。
ぜひみなさんも試してみてください。
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)を上梓した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。