かつてのスターは「稼ぎたい」「モテたい」が原動力だった。
じゃあ、いまのニューヒーローは?

次々と新たなビジネスを仕掛ける稀代の起業家、佐藤航陽氏。「これからどう生きるか?」を徹底的に考察した超・期待作『ゆるストイック』を上梓した。これからの生き方として重要なキーワードは、「ストイック」と「ゆるさ」。令和のヒーローたち(大谷翔平、井上尚弥、藤井聡太…)は、なぜストイックに自分に向き合い続けるのか。『ゆるストイック』では、「どのように日常を過ごしていくべきか」を言語化し、誰でもできるプロセスとしてみなさんに共有する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

かつてのスターは「稼ぎたい」「モテたい」が原動力だった。じゃあ、いまのニューヒーローは?Photo: Adobe Stock

欲望に流されない現代のスター

 大谷翔平選手と藤井聡太八冠。

 異なる分野で世界的な成果を挙げる二人に共通するのは、「柔軟なストイックさ」です。

 従来の「根性型ストイック」とは異なり、自分を律しつつも環境に合わせて変化できる柔らかさを備えています。

 彼らの姿勢は、現代を生きる私たちに新しい指針を示しています

 かつてのスターは「稼ぎたい」「モテたい」といった欲望を隠さず表に出すタイプが主流でした。

 確かに人間的な魅力はありましたが、大きな成果を挙げた後にバランスを崩し、スキャンダルや挫折に直結するケースも多かったのです。

 一方、大谷選手も藤井八冠も、自分の欲望をむき出しにせず、淡々と自己研鑽を積み重ねています

 彼らは「評価されること」や「他者との比較」ではなく、「昨日の自分より成長すること」に焦点を当てているのです。

自己規律と柔軟性の両立

 二人が持つストイックさは、単なる禁欲ではありません。

 むしろ特徴的なのは、「柔軟性」との両立です

 大谷選手は環境やチーム戦略に応じて自らのプレースタイルを調整します。

 藤井八冠もAIを活用し、従来の定跡にとらわれない新しい戦法を取り入れています。

 固定観念に縛られず、必要に応じて最適解を模索する姿勢が、持続的な成果を生み出す源泉となっているのです

他者を否定しない姿勢

 もうひとつの共通点は、「他者を否定しないこと」です。

 自己研鑽を突き詰めながらも、他人に価値観を押し付けたり、他流派を軽視したりすることがありません。

 これは現代の多様性社会において重要な態度です。

 他人の違いを認めながらも、自分自身の軸を保ち続ける。
 まさに「ストイックさ」と「ゆるさ」を兼ね備えた姿勢と言えるでしょう。

 大谷翔平選手と藤井聡太八冠に共通するのは「柔軟なストイックさ」です。

 成果におごらず、環境の変化に応じて自らを進化させ続ける。
 その姿勢は、単なる根性論でも怠惰なゆるさでもなく、両者を組み合わせた「ゆるストイック」そのものです。

 私たちもまた、他人を否定せずに自分を律し、淡々と積み重ねていく姿勢を取り入れるべきではないでしょうか。ゆるストイックに生きましょう

佐藤航陽(さとう・かつあき)
株式会社スペースデータ 代表取締役社長
1986年、福島県生まれ。早稲田大学在学中の2007年にIT企業を設立し、代表取締役に就任。ビッグデータ解析やオンライン決済の事業を立ち上げ、世界8ヵ国に展開する。2015年に20代で東証マザーズに上場。その後、2017年に宇宙開発を目的に株式会社スペースデータを創業。コロナ禍前にSNSから姿を消し、仮想現実と宇宙開発の専門家になる。今は、宇宙ステーションやロボット開発に携わり、JAXAや国連と協働している。米経済誌「Forbes」の30歳未満のアジアを代表する30人(Forbes 30 Under 30 Asia)に選出される。最新刊『ゆるストイック』(ダイヤモンド社)は8.5万部を突破した。
また、新しくYouTubeチャンネル「佐藤航陽の宇宙会議」https://youtube.com/@ka2aki86 をスタートさせた。