奨学金を借りた人と借りていない人、30代以降に生じる「見過ごせない格差」の正体写真はイメージです Photo:PIXTA

私はファイナンシャルプランナーとして、多くのご家庭のマネープラン作成をお手伝いしています。最近とくに増えているのが、「子どもの大学進学に、どれだけのお金が必要なのか」「奨学金や教育ローンは、どこまで頼っていいのか」といった教育費に関する相談です。(社会保険労務士 井戸美枝)

親はもう子どもの大学費用を捻出できない?

 大学進学に関係する費用は増え続けており、さらに物価も上昇しています。親世代が体験した大学生活と、今の子どもたちの進学環境は「別物」になっていると言ってよいでしょう。

 では、2025年現在、大学進学にかかる費用の総額は、どれくらいなのでしょうか。進学先によって大きく異なりますが、2025年時点の平均的な費用は以下の通りです。

大学受験から卒業までの総コスト
・国立大学・文系・自宅から通学 約620万円
・私立大学・文系・自宅から通学 約770万円
・私立大学・理系  約910万円

 国立の文系へ進学した場合、トータル約620万円。私立大学の理系では、大学卒業までに1000万円近くかかります。また、理系学部では大学院へ進む人も多く、修士課程前期(2年)の場合で130万~200万円の費用が必要になることもあります。

 自宅外(下宿)から通う場合は、家賃・生活費が必要になります。都内では家賃相場も上がっており、仮に家賃が7万円、食費が3万円、水道光熱費などが2万円とすると毎月12万円、4年間で576万円の費用がかかります。

学費が足りない場合、どうするか?

 こうした費用を支払うことが難しい世帯も当然出てきます。

 進学費用が足りない場合、多くの家庭が頼るのが「奨学金」や「教育ローン」です。