スナックは「第4の食事」

 スナックは英語で 「軽食」「間食」 を意味し、メインの食事(朝・昼・夕食)の合間に、手軽につまんで食べる食品全般を指します。マーケティングの領域では「スナッキング(snacking)」という動詞化も進み、「生活リズムに合わせた小分けの食習慣」 を表す言葉として使われています。

 日本では特にスナック菓子の意味で使われることが多く、スナックというと背徳感の高い「ジャンク=高カロリー・高脂肪・高糖質」という負のイメージがつきまとっていました。

 しかし、栄養学やウェルビーイング志向の広まりによって、スナックはもはや嗜好品にとどまらず、健康を支える“第4の食事”あるいは“食生活の調整弁”として再評価されつつあります。その潮流の背景にあるのが、「時間栄養学(クロノニュートリション)」という学問分野です。

 時間栄養学とは、食事の内容だけでなく、摂取する「タイミング」が、体内時計や代謝にどう影響を与えるのかを研究する学問です。

 人間の体は1日24時間のリズムに従って動いており、朝と夜とでは同じ栄養素でも代謝や吸収効率が異なります。例えば、朝に炭水化物を摂れば効率的にエネルギーとして利用されやすい一方、夜に多量に摂取すれば脂肪として蓄積されやすいのです。このような観点から、スナックの役割も「単なる間食」ではなく「生活リズムに適合した栄養補給食」として再定義されてきています。

 世界に目を向けると、ヘルシースナッキングはすでに一大市場を形成しています。米国では「プロテインバー」「ギリシャヨーグルト」「ベジチップス」といった、健康を意識したスナックがスーパーの棚を占拠し、欧州ではオーガニックやプラントベースのスナックが主流になりつつあります。

 アジアにおいても、日本の大豆やエンドウ豆のスナック、韓国の海苔スナック、中国のオーツ麦ビスケットなど、地域食材をベースに健康性を打ち出した商品が次々と登場しています。