「クイズに答えていくだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書の見どころをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

本当に正しいチャートの使い方
窪田さんは『株トレ』の中で、「チャートは未来を映し出すものではなく、今、相場で何が起きているかを示すツールだ」と強調しています。
今、買い手と売り手はどちらが優勢なのか。その勢いはどれほど強いのか。チャートは、こうした需給のバランスを可視化してくれるものなのです。
注目すべきは「売買高」
チャート分析というと、チャートの形ばかりに目が行きがちですが、窪田さんが『株トレ』で最初に解説しているのは「売買高」です。
売買高は、その銘柄がどれだけ活発に取引されているかを示しています。
たとえば、長い間ほとんど動きのなかった株が、急に売買高を伴って値上がりを始めたとしましょう。
これは新しい好材料が出て、多くの投資家が一斉に動き始めたことを示唆しています。
ファンダメンタルズ分析だけでは捉えることができない「トレンドの初動」を、チャートを見ていれば察知できるのです。
売買高を伴う上昇
次のチャートをご覧ください。

株価は二番底をつけた後、売買高の急増を伴いながら、上昇に転じています。
さらに、直近の高値を抜けています。
このようなチャートは「買い」と判断することができます。

一方で、株価が上がっているのに売買高が増えていない場合は注意が必要です。
少数の投資家による一時的な値動きで、いわゆる「テクニカルリバウンド」にすぎないことも多く、長続きする可能性が低くなります。
売買高は、株価の動きが本物なのか、それとも一時的なものなのかを見極めるための重要な手がかりです。
チャートの形を解説する指南書は多くありますが、「今、市場で何が起きているか」を正しく捉えるために、ぜひ売買高にも目を向けてみてください。