ところが、多くの人はこの一人前になった段階で満足してしまい、成長を止めてしまいます。一人前になるとだれも文句を言わないからです。

一人前は「二流になっただけ」
努力し続けられる人だけが一流になる

 私の考えでは、半人前の時は三流、そして一人前はゴールではなく、「二流」に到達したに過ぎません。そこからさらに努力を続け、高みを目指す人材だけが一流に近づいていくのです。

 上司が「一人前になったな」と声をかけてくれたとしても、そこで満足してしまえば、その若手は“二流止まり”です。

 むしろ一人前になってからが勝負。自ら学び続けることができるか、努力し続けることができるかが問われるのです。

 そしてもう一つ忘れてはならないのが、「成果を出すこと」です。

 いつも同じレベルの仕事を繰り返しているだけでは、一流にはなれません。与えられた仕事に一歩踏み込んで工夫し、期待以上の結果を出そうとする人だけが、上司から次の仕事を任され、評価されるのです。

 私の愛読書の一つ『ビジョナリー・カンパニー(2) 飛躍の法則』(ジム・コリンズ著)に「Good(良い)はGreat(偉大)の敵」とあります。まさにその通りで、「一人前」という“Good”に安住すると、「一流」の“Great”には到達できないのです。

 では、一生懸命さえ続けていれば出世できるのか。

 短期的には評価されるでしょう。しかし長く伸び続けるには、それだけでは不十分です。

“伸び続ける人”には、共通点があります。それは、「自分なりの目標を持っていること」です。

 資格取得でも、海外赴任でも、小さな目標でも構いません。目標があるからこそ、逆算して今やるべきことを考えるようになるのです。「一人前になること」を目標にしてしまうと、そこが限界になってしまいます。