「感動」だけでない、ディズニーの本当のすごさ

本田 直之(ホンダ ナオユキ)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長兼CEO
シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、常務取締役としてJASDAQへの上場に導く。
現在は、日米のベンチャー企業への投資事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。
東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフを送っている。
幸福度ランキングトップの北欧(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)の人たちと幸福について語り合って著した近著
『LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。』(ダイヤモンド社)が話題になっている。
このほかの著書に、ベストセラーになったレバレッジシリーズをはじめ、『ノマドライフ』(朝日新聞出版)、
25万部を越えるベストセラーとなった『面倒くさがりやのあなたがうまくいく55の法則』『ゆるい生き方』『7つの制約にしばられない生き方』(以上、大和書房)『ハワイが教えてくれたこと。』(イースト・プレス)などがある。
著書は累計200万部を突破し、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。

本田 入社したら、まず何があったんですか。

渡邊 最初にディズニーのフィロソフィーをインプットされるんですが、これがすごかったんですよ。アメリカで作られた、当時でいうところのスライドショーなんですが、ストーリー仕立てになっていて、しかもスピーカーが10個もあるようなすばらしい音響の部屋が用意されていたんです。

本田 そういう演出がされているんですね。

渡邊 スクリーンの前のカーテンから、ちゃんと本格的に作ってあるわけです。「何だろう、これは」と思っていると、カーテンが開きスライドがスタートして、これがもうすごい完成度なんです。みんな心を動かされてしまう。鳥肌モノでした。涙ぐんでいる社員もいましたから。

本田 そういうところでも、絶対に手を抜かない、と。

渡邊 適当に見せて、何かしゃべっておしまい、なんてことは絶対にしないわけです。完璧なプログラムが用意されていたんです。

本田 普通はそこまでしないですよね。

渡邊 ディズニーの凄さって何かというと、本にも書いたんですが、これでもか、これでもか」という言葉に尽きると思っているんです。
 エレクトリカルパレードだって、最初のフロート(山車)の集団が通り過ぎて、終わったかなあと思ったら、また次から次へと出てくる。花火もそうです。ドドーンと上がって、「さあ終わった、帰ろうか」と思うと、そこからグランドフィナーレで、ドドドドドーンと来る。あれです。

本田 期待値以上のものが出てくる、と。

渡邊 そうですね、期待値を絶対に超えるものを提供するというのが、ディズニーだ、というのが、私の印象ですね。

本田 その超え方が半端ない、ということですね。期待以上どころじゃない、想像もしていないレベルというのが、ディズニーランドだと。

渡邊 私がよく話をするのが、白雪姫と七人の小人のアトラクションなんですが、魔女が出てきて毒リンゴを差し出すシーンがあるんですね。私がびっくりしたのは、アトラクションに乗っていると絶対に見えるはずがない、裏側のリンゴの芯までちゃんと塗装がしてあったことなんです。見えないところにまで、こだわっている。

本田 スティーブ・ジョブズのMacの中の基盤のデザインにまでこだわる、というのに通じるものがありますね。誰も見ないけれど、そういうところにこだわっていないと本当にいいものはできない。