
大人の毎日は「選択」の連続です。ピンチをチャンスに変えるには、どうすればいいのか。高い評価や人望や信頼をたくさん得られるのは、どっちの選択肢か。微妙な状況への立ち向かい方を通じて、より大きな幸せをつかめる「トク」な道を探りましょう。(コラムニスト 石原壮一郎)
<今回の2択>
会社の最寄り駅で人だかりができている。女性が倒れているようだ。「どなたかAEDを!」という緊迫した声が聞こえる。いつも使う駅なのでAEDの設置場所は知っているし、たまたま講習を受けたばかりなので使い方もわかる。
しかし、ここで時間を食ってしまうと大事な会議に間に合わない。AEDを取りに走るか、そのまま通り過ぎるか。さて、どっちの行動を取る?
<選択のポイント>
冷静に考えると、迷う余地なんてありません。自分が素通りしたことによって、最悪の事態になってしまう可能性は大いにあります。AEDの設置場所を知っていて使い方もわかるなら、人命救助に全力で協力するのが人として当然の行為と言えるでしょう。
しかし、実際にこういう場面に遭遇した場合、さまざまな邪念や目の前の都合に惑わされて見て見ぬふりをしてしまうケースが少なくないのが、人間の弱さであり大人の悲しさ。
そして勇気と行動力がなかった自分を正当化するために、たとえば「女性にAEDを使うことに伴うリスク」といった都市伝説に基づいた言い訳をしたり顔で並べ立てたりします。
この設問を読んで、即座に「そりゃ、助けるだろ」と思えたあなたは、きっと大丈夫。その調子で生きていきましょう。
「うーん、大事な会議に遅れるのもマズイし……」と迷ったあなたは、ビジネスパーソンとしては優秀なのかもしれませんけど、自分が大事な何かをなくしちまっているかもしれないと胸に手を当てて考えてみたほうがよさそうです。
