ガソリン税の「重税感」はなぜ生まれたのか?
皮肉にも原因はガソリン補助金だった!

 さて、日本国民はなぜこれほどガソリン税に対する重税感を抱くようになったのだろうか。

 それは“失われた30年”に関係している。この間、物価上昇が極めて緩やかで、物価上昇による税の目減り効果(インフレ減価)による負担軽減効果が少なかったことが要因の一つにあるのだ。

 G7の中で、いまだにガソリン補助金を投入しているのは日本とイギリスだけ。しかし両国のガソリン税負担感を比較してみると、その違いは明らかだ。

図表:日本と英国の物価上昇による税負担感英国の2025年は、IMFの2025年4月時点の推計。IMF - World Economic Outlook Databasesなど各種資料を基に筆者作成
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 対2000年比でわが国では2010年は2.0%、20年では1.3%とほぼ横ばい、25年でようやく7.3%の負担減となった。消費税が1989年の導入時は3%だったが、97年に5%、2014年に8%、19年に10%と増額されてきたことも影響している。

 この数年、21~22年の輸入物価を起点としたコストプッシュ型の物価上昇、23~24年の賃金上昇と価格転嫁が物価を押し上げたが、それでも実質税負担はわずか7.3%減にとどまっている。

 一方、日本と異なり中長期に物価上昇が続いたイギリスでは、2011年で23%減、22年で46%減、25年で52%減と実質的に税負担が半減している。

 日本では激変緩和処置、つまりガソリン補助金によって物価上昇を抑えてきたことが、逆にガソリン税の重税感を増やすことにつながったともいえる。何とも皮肉なことだ。