なぜガソリンは「二重課税」なのか
EUや米国も探って分かった課題
ガソリン税に関するもう一つの問題が、二重課税である。ガソリン税を含めた総額に、消費税・付加価値税(VAT)や売上税を二重に掛け合わせている。これも重税感の要因だ。わが国ではガソリン税の減税と、この二重課税の廃止を訴えている政党が支持を集めている。
しかし実は、二重課税制度を採用している国は意外にも多い(ただし航空や船舶、発電、農業用など特定の用途を除く特例はある)。石油税の増税は一般的にハードルが高いが、消費税・VAT、売上税は名前に違いはあるものの特定の品物ではなく、財政と税率に議論が集中するため、特定製品ごとの税金より理解が得られやすいからだ。
代表例がEUで、04年からエネルギー税指令によってガソリンには最低税率が決められた。さらにEUの付加価値税指令で標準VAT率は15%以上とされ、二重課税である。
一方、米国では燃料税に売上税(もしくは消費税)を課している二重課税は、6州のみだ。それ以外の大半の州で、ガソリン税は連邦税$0.184/ガロン(7.1円/ℓ、1ドル147円で換算)と州税から構成されている。
ちなみに少数派である二重課税のカリフォルニア州では、連邦税と州税に平均2.25%の「標準売上税」がかかる。標準というのは何かというと、同州の売上税は郡、市ごとに決めている。資料を確認すると、なんと地域ごとに547もの税率が記載されている。これを基に売上税の実効税率を計算すると、10%を越えている地域が77市・郡あった(「California City and County Sales and Use Tax Rates」25年7月1日時点)。
資料の一覧表には、「これらは最新の税率ではない可能性がある」という注釈があった。何が言いたいかというと、547もの地域の住民が、自らの意思と判断で税率を決めているのだ。米国ではガソリン税が、地域の財政安定も踏まえて地域で議論され、意思決定されているのだ。