「死ぬのは突然がいい…」ドイツ人が終活なんてまっぴらな3つの理由写真はイメージです Photo:PIXTA

どんな人間にも「最期の時」は訪れるもの。「終活」というワードが浸透しているように、高齢者になれば死に対してきちんと準備をする日本人に対して、ドイツ人は「あまり考えない」のだとか。日本とドイツの死生観の違いを、両国にルーツをもつエッセイストが解説する。※本稿は、サンドラ・ヘフェリン『ドイツ人は飾らず・悩まず・さらりと老いる』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。

合理主義のドイツ人が
「死の準備」をしない理由

 日本人に比べてドイツ人は「死の準備」について細かく考えないと感じます。

 片付けひとつを取っても、「自分が死んだ後のために物を減らそう」と断捨離する親はあまりいませんし、子どもも「親が亡くなった後に考えればよい」という傾向があります。「生きていること」をとにかく満喫し、死にまつわる準備などしたくない……という感覚をもつ人が意外にも多いのです。

 第一の理由は、「とにかく楽しいことをしないと損」という近年のドイツ人の考え方。その考えが根底にあるため、南の島のバカンスで太陽や海を満喫したり、何歳になっても友達やパートナーと楽しい時間を過ごしたり、高齢になっても「生きる」ほうに集中していると感じます。

 第二の理由は、「嫌なことは考えたくない」といった「現実逃避」。

 一概に言えることではありませんが、じっくり「老後や死について考える」ことが苦手な人が多い印象です。

 第三の理由は、「考えても仕方がない」。

 現実的かつあっさりした、ドイツ人らしい合理主義かもしれません。