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「週刊モーニング」電子版に見る
連載マンガのデジタル化で利益を出す模索

待兼音二郎
2013年6月12日
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電子版は手堅く作って
従来の「紙版」と併売していく

 ここで電子雑誌の価格とコストを考えてみよう。まず、Apple IDひとつで手軽に購読できるアプリ内課金のしくみは、読者からみれば手軽に購入できる半面、Appleへの3割もの手数料が利幅を圧迫する。

 電子版のみの発行となれば、そこでの利益からコストを賄わねばならない。爆発的な読者増がない限り、紙版よりむしろ値上げするくらいでないと黒字化は難しいだろう。

 しかし紙版との併売であれば、制作費や原稿料は紙版のコスト構造に組み込んだ上で、プラスαとして電子版を出すことができる。

 そこで改めて「Dモーニング」を眺めると、意外に作りが地味であることに気づかされる。カラーページはもちろんあるが、紙版より大幅に増えているわけではないし、動画なども見当たらない。

 電子版なら前述のように派手なコンテンツをふんだんに盛り込むことも可能だ。しかし、宣伝用のサンプル版ならともかく、同誌は紙版と同日配信で毎週発行しなければならないのだ。そこにコスト削減の苦心の跡が見えてくる。

 さらに、講談社はこの電子版を一種の販促ツールとしても見ているようだ。「アプリになることで、これまで『週刊モーニング』を買う習慣のなかった人にも気軽に買えるようになります。そうして読者が増えれば、単行本の売上も伸び、利益につながることが期待できます」(講談社 広報室)

 たしかに、コミック雑誌には単行本を買ってもらうための試し読み媒体としての役割もある。紙版より手軽に購読できる電子版には、その役割もより大きく期待できるわけだ。

 Webサイト「マンガ一巻読破」を運営し、単行本を年間1000冊以上購入するヘビー読者でもある岩崎智紀氏は、こう指摘する。

 「雑誌を読むには、“慣れ”が必要。連載作品は途中からでは読みづらい。分量も多く、毎週届く。雑誌離れもある現状で、欠かさず読むアクティブユーザーが、電子版にどれだけ残るか。閲読率が課題ではないか」

 試し読みならWebでもできてしまういま、連載雑誌という形態が従来のままでよいのかという議論もあるだろう。「Dモーニング」の取り組みは、デジタル時代のマンガの新しい読み方を考える題材ともいえるだろう。

(待兼音二郎/5時から作家塾(R)

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