
中国の自動車大手BYDのに暗雲が立ち込めている。BYDの世界販売台数は2024年ランキングで堂々の第7位、ホンダや日産自動車を抜き去り、フォードに肉薄するまで上り詰めた。しかし習近平政権が6月に出した新規制の影響で、資金調達やサプライチェーン戦略に大きな転換を迫られている。グローバル展開で主戦場の東南アジアにおいても、成長の足かせになりそうだ。(ジャカルタ日報共同創業者・編集長 赤井俊文)
中国共産党の規制でBYDに暗雲
東南アジア戦略に減速感も
中国のEV(電気自動車)最大手、BYDに暗雲が立ち込めている。発端は習近平政権が6月、取引先企業への支払いを「納品後60日以内の決済」とする新しい規制を施行したことだ。
この措置により、平均4カ月(120日)前後と言われる中国自動車業界の支払期間(掛け金回収期間)は半減した。そのため、約束手形を実質的な“無利息借り入れ”としてきた資金調達モデルが、大きな転換を迫られている。
飛ぶ鳥を落とす勢いで成長してきたBYDは、独自の電子手形プラットフォームを通じて、400億元(約8200億円)規模の手形を発行していたと見られる。しかし新規制によって今後の財務戦略は大幅な変更が必至。まず、「サプライヤーへの清算資金が必要」(自動車メーカー幹部)となるため、銀行から借り入れを増やせば利息の支払いが経営を圧迫することになりかねない。