スマホ、ネット、SNS……気が散るものだらけの世界で「本当にやりたいこと」を実現するには? タスクからタスクへと次々と飛び回っては結局何もできない毎日をやめて、「一度に1つの作業」を徹底する「一点集中」の世界へ。18言語で話題の世界的ロングセラーの新装版『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』。その刊行を記念して、訳者の栗木さつき氏に話をうかがった。(構成/ダイヤモンド社三浦岳)

集中が難しい時代
――本書では、いま多くの人が「集中できない」という問題に直面していると書かれています。これは子どもを見ていても顕著ですよね。うちの子は大学生ですが、家にいる間、ずっとスマホを見ています。
栗木さつき氏(以下、栗木):ですよね。家族で食事をしていても、親の顔も見ないなんてことはザラですよね。受験生なんて勉強に集中したくてもSNSやLINEの通知が気を散らしてくるわけで、いまの子どもはかわいそうとすら思います。
――私自身は、スマホの設定の「スクリーンタイム」を使ってSNSの使用は一日15分以内に制限するようにしました。
栗木:それはいいですね。『一点集中術』にも書かれていますが、制限アプリを使うとか、電源を落としてほかの部屋に置くとか、物理的な対策をしないと難しいですよね。本書を訳してから、私自身、寝る前はスマホを隣の部屋に置いてくるようにしています。
――目覚ましはどうしているんですか。
栗木:この本に書いてあったようにアナログの目覚まし時計を使っています。
――私はまだスマホにアラームを設定して朝起きているんですよね。しかしスマホを身近に置きつづけることの弊害は、本書でも詳しく触れられていますね。
だがある時期から、スマホのアラーム機能を使うようになった。なによりありがたかったのは、出張の荷物が減ったことだ!
だが、それと同時に、私の1日は「ツイート」「メッセージ」「メール」の猛攻撃で始まるようになった。
深夜だって油断はできない。うっかり真夜中にスマホのほうをちらりと見てしまい、つい、ストレス満載のメッセージを読んでしまったら? ふたたび至福の眠りに落ちるのはまず無理だ。 ――『一点集中術』より
「アナログの目覚まし」を使う
――朝起きてすぐにスマホが手元にあると、アラームを止めた途端にSNSやメールを見てしまい、一日が「猛攻撃」で始まってしまうという感覚はよくわかります。朝イチのスマホは最悪の習慣だということですね。
栗木:起きた瞬間からスマホを見る習慣ができたら、ますますスマホ依存になりますよね。夜はスマホをだらだら見ながら寝落ちして、朝、スマホのアラームで起きてまた見てしまうという悪循環にはまってしまいます。ストレスのかかるメールなんて来ていたら起き抜けから重い気分になりますし。
でも、アナログの目覚まし時計を使えば、そんな悪循環は断ち切れますよ。手元にスマホがないと、寝る前に本を読むことができます。読書しながらうとうととして睡眠に入るのは気持ちいいですよ。とくに難しい本なんて読んでいると一発で寝てしまうので、入眠儀式としても最高です。
(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』の翻訳者インタビューです)