スマホ、ネット、SNS……気が散るものだらけの世界で「本当にやりたいこと」を実現するには? タスクからタスクへと次々と飛び回っては結局何もできない毎日をやめて、「一度に1つの作業」を徹底する「一点集中」の世界へ。18言語で話題の世界的ロングセラーの新装版『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』。その刊行を記念して、訳者の栗木さつき氏に話をうかがった。(構成/ダイヤモンド社三浦岳)

「頭の回転」がにぶくなる最悪の習慣・ワースト1Photo: Adobe Stock

問題がどんどん深刻化している

――『一点集中術」はもともとは2017年に出たもので、8年も読まれ続けるロングセラーになっています。いまの時代は、ますます本書が必要になっているようにも思いますが、いかがですか?

栗木さつき氏(以下、栗木):今回、著者のデボラさんに新たに書き下ろしていただいた新装版のための前書きでも、以下のように警告されていました。

 当時と比べると、私たちは生活のあらゆる場面でSNS、ネット通販やネット取引、オンライン講座、リモートワークなどをいっそう活用している。Zoomだって、10年前は利用していませんでしたよね?
 こうして私たちは、スマートフォンやSNS漬けの日々を送るようになった。
 はたして、その副作用は? 集中力がどんどん低下しているのだ。――『一点集中術』より

――まさに「スマホ漬け」が、頭の回転をにぶらせる最悪の習慣になっている、と。栗木さんご自身も、そうした影響を実感されることはありますか。

栗木:はい、しています。私はSNSに積極的に投稿するタイプではないのですが、気づけばつい見てしまいます。この本を翻訳して「一点集中の重要性」がよくわかっているはずなのに、それでもスマホに手を伸ばしてしまう。これは多くの人に共通する悩みではないでしょうか。

では、どうすればいい?

――本書の翻訳をされてから、ご自身の習慣を変えたことはありますか。

栗木:以前から夜はなるべくスマホを見ないように電源を落としていましたが、いまはさらに踏み込んで「ここから数時間は集中したい」という時には、スマホを隣の部屋に置くようにしました。物理的に距離を置くのは簡単ですが効果的です。

――手に届くところにないだけでだいぶ違うんですね。

栗木:そうですね。逆に言うと、そばにあるだけで気になってしまいます。とくにSNSは要注意です。仕事で必要があって登録したはずなのに、いつのまにかインスタグラムなどをだらだら見てしまい、気づいたら時間が消えていたと感じることがよくあります。

――スマホ漬け、SNS漬けが「一点集中」の最大の敵ですね。

栗木:はい。集中力を保つには、物理的にスマホと距離を置く仕組みをつくることが不可欠だと思います。

(本記事は、デボラ・ザック著『一点集中術━━限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』の翻訳者インタビューです)