下落相場をも収益機会に変える「空売り」
信用取引の真価は、単に「安く買って高く売る」だけではありません。株価が下落すると予測した場合、証券会社から株を借りて先に売り、値下がりした後に買い戻して差額を利益とする「空(から)売り」という戦略が可能になります。
これにより、上昇相場だけでなく、下落相場というこれまで指をくわえて見ていた局面でさえ、新たな利益のチャンスに変えることができるのです。
資金効率の向上で、投資の選択肢は無限大に
例えば、手元資金30万円をそのまま投資すれば、1銘柄で手一杯かもしれません。しかし信用取引を活用すれば、10万円ずつ3つの有望な銘柄に分散投資することも可能になります。
資金が少ないからと諦めていた銘柄にも手が届き、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながら、より大きなリターンを狙うという理想的な投資スタイルを実現しやすくなるのです。
保有資産を守る「ヘッジ」という名の保険
さらに、すでに保有している現物株式の値下がりリスクを一時的に回避したい場合にも、信用取引は有効な「保険」となります。同じ銘柄を「空売り」しておくことで(これは「つなぎ売り」と呼ばれます)、もし株価が下落しても、空売りの利益で現物株の損失を相殺できます。
大切な資産を守りながら、相場の変動を乗り切るための賢い一手と言えるでしょう。
個人投資家にとって「やってはいけない投資法」とよくいわれる信用取引は、リスク管理というパートナーと手を組むことで、あなたの投資の可能性を飛躍的に高める「賢者の選択」となり得るのです。
※本稿は『最後に勝つ投資術【実践バイブル】 ゴールドマン・サックスの元トップトレーダーが明かす「株式投資のサバイバル戦略』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。