調剤薬局大再編後に生き残る企業はどこだ?イオングループが「最強」、マツキヨココカラとスギHDが「戦略的に正しい」理由とは写真:医薬経済社提供
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 調剤併設型ドラッグストアによる専業調剤薬局チェーンの買収や、専業調剤チェーンの日本調剤がアドバンテッジパートナーズからの約1178億円のTOB(株式公開買い付け)に応じるなど、調剤市場が大再編のうねりにある。

 厚生労働省が旗を振った医薬分業の流れに乗り、長く調剤市場を牽引してきた日本調剤に関しては、後発品事業子会社の日本ジェリックの再建の難しさや薬局DX化の投資負担の重圧もTOB受け入れの背景ではあるが、やはり本業の調剤薬局事業の将来性を考えた時に、高値で売れるのであれば、最適なタイミングだと考えたのではないだろうか。それだけ24年度調剤報酬改定、長期収載品や後発品を標的とした薬価の毎年改定(引き下げ)は、日本調剤のビジネスモデルを崩壊させるに十分なインパクトだった。「報酬で釣り、いずれは梯子を外す」という役所の行動原理を熟知していた日本調剤でも、予見できないものだったのだろう。

 調剤併設型のドラッグストアは買収に旺盛だ。

 スギホールディングスは8月19日、埼玉県を中心にドラッグストアなど300店舗以上を展開するセキ薬品(埼玉県)をグループ傘下に入れ、持分法適用会社化したと発表した。159億6300万円を投じ、同日付で株式の34.8%を取得。独占禁止法に基づく手続きも経て、9月30日付で49%まで追加取得する。さらに、5年後をメドに株式の所有率を51%まで高め、連結子会社化する予定だ。

 市場関係者は、埼玉県では圧倒的な認知度を誇るセキ薬品の買収に極めて好意的だ。「出店してもシェア獲得に時間がかかる。時間を金で買う。まさに王道のM&A」と指摘する。