日本調剤が04年の上場以来、半期決算で初の赤字となり正念場を迎えている。25年3月期第2四半期の連結決算は営業利益が前年同期比87.5%減の4億円、最終利益は4300万円の赤字となった。株価も低迷し15年に上場来最高値の3212円をつけてから右肩下がりを続け、今年11月には1300円台で低迷している。6月には創業者の三津原博氏が5年ぶりに取締役として復帰して会長に就きテコ入れを図ろうとしているが、社長をはじめとする経営陣は60歳代の元銀行マンが固めており、抜本改革が進まない状況にある。
「3大メガバンク」出身が牛耳る
「赤字経営になったことを大変申し訳なく思っている」
笠井直人社長は11月12日に開いた決算説明会で陳謝した。売上高こそ5.6%増の1755億円となったが、調剤薬局事業が予想よりも58億円足らず1565億円と伸び悩んで利益を圧迫した。前年は新型コロナウイルス感染症の流行から薬が出ていたが、今年はやや下火で、応需できた処方箋枚数が期初予想比で2.2%減った。下期は販売管理費の大幅なコストカットに加え、不採算店舗の統廃合を進めることで黒字化をめざす。
コストカットと統廃合はここ数年、力を入れてきた「敷地内薬局」が中心となる。敷地内薬局は病院から出る処方箋の多くを獲得できる一方で賃料が高く、値下げ交渉を進める。同社の薬局743店舗(9月末時点)のうち敷地内薬局は42店舗を占める。しかし、厚生労働省が24年度に敷地内薬局の調剤報酬を大幅に削減したことで、採算が苦しい店舗が続出。上期に4店舗を閉店・移転せざるを得なくなった。下期も閉店する約20店舗のうち半分が敷地内薬局になる見通し。役員として新規出店を担当してきた笠井社長にとっては苦渋の方針転換となる。