女性の身分は低かったが
母の力は不可欠とされた
このような権利を持っていたにもかかわらず、古代エジプトにおける女性たちは、ハーレムに暮らすような女性たちは別として、社会のあらゆる層で政治権力を握っていた男性たちよりも身分が低かったようだ。ただし幼い頃から母親によって家事の方法や情操教育が施されていたことも知られている。上流階級の少女たちは歌や舞踊を学び、なかには読み書きができる者もいたようだ。古代エジプト社会において子供が正義・秩序・道徳に従い、正しく育ち生きていくためには、母親の力が必要不可欠なもだと認識されていたことは明白である。
しかしながら、古代エジプトの一般庶民の間では、女性の役割はほとんどが家庭の活動(家事・育児)に限定されていたようだ。それゆえ古代エジプトの男性目線からの理想的な女性とは家庭に留まる者であった。しかし理想は時代とともに変化する。
アンクシェションクイは愚者について以下のように述べている。
「愚者の仲間は愚者であり、賢者の仲間は賢者なのだ。誰であろうとも富を得ることはできる。しかし、賢者はそれを蓄えるのである」(「アンクシェションクイの教訓」より)
富を蓄えるかどうかは別の問題だが(なかなか貯蓄は増えないし……)、少なくとも自分は賢者の仲間でありたいと思う。
