古代エジプト中流階層の父が息子に語った「家庭と職場での立ち回り術」【現代庶民もうなずける】写真はイメージです Photo:PIXTA

「口の軽さは、人を破滅に導く」。現代にも通用する警句を発しているのは、古代エジプトの第19王朝(紀元前1293年頃~紀元前1185年頃)に生きた、アニである。いくつかの知恵文学を残しているが、その一つが「アニの教訓」。下級の神殿付きの書記であったため、中流階級の生活に根ざした、賢く誠実に生きる心構えを書き綴っている。※本稿は、大城道則『古代人の教訓』(ポプラ新書)の一部を抜粋・編集したものです。

古代エジプトでも語られていた
家内円満への近道とは

「妻が有能であると知っているなら、家のなかでは妻にあれこれ指示すべきではありません。彼女はそれを正しい場所に置いているのに、『それはどこにある。取って来い』などと言うべきではありません。能力を認めているなら、黙って目を配ることです。あなたの手が彼女とともにあるとき、それは幸せなことです。このことを知らぬ者は意外と多いのです。もし男が家事に口出ししないならば、家庭不和のきっかけを作ることもないのだから。家庭を持つ男は誰でも、軽率な心を自制すべきなのです」(「アニの教訓」より)

 家庭平和がこの世で最も尊いことは自明の理であるが、頭ではわかっていても言葉や態度がそれに伴わない昭和風情な男性は多い(もちろん昭和生まれのすべての男性がそうとは限らない。そして私自身がそうでないことを祈る)。妻に対してだけではなく、誰に対しても日々言動には気をつけなければならないのだ。意外なほど「一言多い」あるいはハラスメント気味の言動を取る男性は多い。