「面接官のいう『自分らしさ』って『企業に都合よく合わせた自分らしさ』のことですよね」
新刊『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、就活における個性の出し方について著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

「自分らしさ」は“普段通り”じゃない
就活では「自分らしさを出そう」とよく言われます。拙書『脇役さんの就活攻略書』でもサブタイトルとして「ありのままの自分で」という言葉を使いました。
でもこの言葉、少し誤解を生みやすいんですよね。
「じゃあ普段通りでいいんだ」と思って何も対策をしなければ、なかなか評価されません。
一方で、自分を偽って企業の理想像に寄せすぎると、入社後にミスマッチが起こるリスクが高まります。
例えば、体育会系を評価しそうだからといって、無理に体育会系を装うと入社後に辛くなってしまう。
これらを踏まえると、就活で重要なことは、いかにありのままの自分がどんな人間なのかを伝えつつ、評価に繋げることだと分かります。
「深掘り」こそが最強の選考対策である
僕は趣味が一人映画に一人カラオケ、スタバが好きで毎日通っています。
仮に、これをそのまま伝えるだけだと、集団行動ができないタイプだとして企業から評価されないでしょう。
一方で、一人の時間が好きだという特性を深掘りしてみるとどうでしょうか。
このとき使えるテクニックが「なぜなぜ分析」です。「なぜ」と何度も問いかけることで、物事の本質が見えてきます。
→他人に気を遣わずに過ごせるから。
なぜ気を遣わずに過ごせることが大切なのか?
→人と一緒にいると相手の表情や空気を読みすぎて疲れるから。
なぜ相手に気を遣うと疲れるのか?
→「期待に応えたい」という気持ちが強く、無意識に自分を押し殺してしまうから。
なぜ自分を押し殺すことが負担になるのか?
→本来の自分の考えや気持ちを整理できないままになると、不安やモヤモヤが溜まるから。
だから一人の時間が好きなのは、
→「気を遣わずに自分を回復させ、考えを整理できるから」。
このように考えると、僕の『考えを整理する時間が必要』という特性が見えてきました。
たしかに集団でいるとゆっくり考える時間はありません。周りに気を遣うばかりで疲れてしまうんですよね。
こうして深掘りすることで、自分の強みと弱みがはっきりします。
強みは「考える力がある」。弱みは「一人の時間が必要」ということ。
このようにありのままの自分でも、しっかりと深掘りすることで評価に繋げることができるのです。
対策をせずに普段の自分で勝負しても評価されない
先ほど紹介した「なぜなぜ分析」は、拙書『脇役さんの就活攻略書』でも最重要テクニックとして紹介しています。
なぜ重要なのか。それは、エントリーシートや面接で評価される人は、理由の納得度が高い人だからです。
5W1Hという言葉を聞いたことがありますか。
物事を整理するフレームワークで、次の6つを指します。
Where(どこで)
Who(誰と)
When(いつ)
Why(なぜ)
How(どのように)
面接の深掘り質問も、この5W1Hで聞かれます。特に難しいのが「Why(なぜ)」です。
他の5つは事実を答えるだけなので簡単です。
何をした? どこでした? 誰と? いつ? どうやって? …これは事実ですぐ答えられる。
一方「なぜしたのか?」は、思考の背景を聞かれているため、理由を深く考えていないと答えに詰まります。
たとえば僕はガクチカで「挨拶」と答えていました。
では質問します。なぜ挨拶は大切でしょうか?
多くの人は「なんとなく」大切だと感じているだけで、理由まで答えられません。そのまま曖昧に答えれば、当然評価されません。
しかし事前に深掘りしておけば、納得感ある理由を伝えられます。
僕は一人が好きなタイプですが、挨拶だけは元気よくするよう意識しています。理由は、挨拶が元気なだけで相手からの印象が跳ね上がるから。挨拶は信頼関係を築くうえで最もコスパが良い行動だからです。
この「挨拶は信頼関係を築くうえで最もコスパが良い行動」というフレーズを面接で言うと、面接官に「面白い」と言われました。
長くなりましたが、「自分らしさ」が大切とされるのに評価されない人は、理由を深掘りしていないからです。一方で、理由まで語れる人は面接官を納得させられます。
拙書『脇役さんの就活攻略書』では、ありのままの自分を評価につなげる具体的な方法を紹介しています。
中堅大学出身で、実績もなければTOEIC300点台、成績も最底辺だった僕でも、就活で評価された方法を書きました。
この記事と書籍が、少しでも多くの就活生の助けになれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!