富裕層必見! 資産防衛&節税術Photo:PIXTA

不動産オーナーや富裕層に激震が走るニュースが飛び込んできた。国が賃貸不動産の相続税評価について、原則として「取得価額ベース」へ変更する方針を固めたという報道である。ターゲットとして名指しされたのは「購入から5年以内の相続」。これにより、富裕層の常識とされてきた「駆け込み節税」は事実上の終焉を迎えることになる。『富裕層必見! 資産防衛&節税術』の第2回では、国税の真の狙いを明らかにするとともに、今すぐ着手できる効果的な対策法を伝授する。(コネクトコンサルティング株式会社 代表取締役・税理士法人アイム会計事務所 社員税理士 大浦智志)

「11月の新聞報道」を侮るな
富裕層の「駆け込み節税」に国税が大なた

 2025年11月26日、不動産オーナーや富裕層の間に激震が走りました。政府・与党が賃貸不動産の相続税評価について、原則として「取得価額ベース」へ変更する方針を固めた、という報道です。ターゲットとして名指しされたのは「購入から5年以内の相続」。これにより、長年富裕層の常識とされてきた「駆け込み節税」は事実上の終焉を迎えることになります。

 まだ正式決定ではないから、とタカをくくるのはあまりに危険です。この報道は、資産防衛のルールが「単なる節税」から「真正面の事業承継」へと切り替わったことを告げる転換点だと捉えるべきです。

「まだ新聞記事が出ただけだろう」「正式な税制改正大綱が出る年末まで様子を見よう」。もしあなたがそのように考えているのなら、それはあまりに危険な楽観論と言わざるを得ません。なぜなら、近年の税制改正の歴史を振り返ると、11月下旬に主要紙がスクープする内容は、当局からの観測気球であり、その後の改正でその多くが現実化しているからです。

 記憶に新しいのが、24年から施行された「タワマン節税」のルール改正、すなわちマンション評価の適正化です。実は、この改正の最初ののろしが上がったのも、22年11月30日の日本経済新聞報道でした。「評価額を時価の6割水準への引き上げを検討」という記事が出た際、半信半疑の専門家やオーナーがいらっしゃいましたが、結果はご存じの通り、報道内容はほぼそのまま制度化されました。

 つまり、この時期の報道は単なるうわさレベルの話ではなく、政府はもう腹を決め、国民へ「事前通告」を行ったと考えるべきです。今回報じられた「賃貸不動産を原則として取得価額、つまり購入価格で評価する」という方針も、その方向性に今後大きな修正はないものと考え、備えることをおすすめします。この情報を無視して無策のまま過ごすことは、資産防衛において致命的な逃げ遅れを生じさせかねません。

 今回の決定は、不動産オーナーにとって幅広く大きなインパクトを与えるものであると言っても過言ではありません。その内容は具体的にどのようなものなのか。そしてどういった対策を打つべきなのか。中でも、特定の商品は早急に出口化戦略、つまり手放して整理する必要があるのです。実践的な方法を次ページから紹介していきましょう。