「ワンピース」の海賊旗、Z世代抵抗のシンボルにPhoto:Ezra Acayan/gettyimages

【東京】モンキー・D・ルフィはゴムのような身体を持つ海賊で、個性豊かな仲間たちと海を航海しながら専制的な政府と戦っている。ここ数カ月はアジアや欧州、米国の抗議デモで、若者たちが彼の海賊旗を抗議のシンボルとして掲げている。

 ルフィは、伝説の宝を求める冒険を描いた日本の長期連載漫画・テレビアニメ番組「ONE PIECE(ワンピース)」の主人公だ。

 この主人公の海賊旗がインドネシアやネパール、フランス、英国などでの最近の抗議活動で、国旗やパレスチナ支援の横断幕、手作りの看板に混じって揺れている。

 この旗は笑みを浮かべたドクロと交差した骨が特徴で、ドクロは赤い帯の付いた麦わら帽子をかぶっている。ルフィの旗は、どんな主張であれ、世界中の抗議活動参加者にインスピレーションを与える最新のポップカルチャーの象徴だ。

 その広がりは、日本の豊富な漫画・アニメ作品が若い世代に与える文化的影響力を示している。スマートフォンやストリーミング配信で親しまれる物語の数々は、世界中で大きな人気を博している。

 現代日本文化とその世界的魅力に関する著書「新ジャポニズム産業史 1945-2020(Pure Invention)」の著者マット・アルト氏は、「若者主導の抗議運動がアニメの要素を取り入れるのは必然だと思う」と述べた。大人の権力者と闘う若い主人公たちが登場するアニメは「世界中の若者にとって共通言語だ」。

 ネパールでは、汚職や縁故主義に対する抗議で今夏揺れた首都カトマンズの中心部で、炎上する政府庁舎の門に「麦わらの一味」の海賊旗が掲げられた。警察との衝突では20人以上が死亡した。