資料を使ってプレゼンする男性画像はイメージです Photo:PIXTA

「この資料、AIでつくってみました」。職場で聞きませんか?誰も聞いていないのに、なぜわざわざAI利用をアピールするのか。実はその一言には、周りに嫌われる人に共通する、ある“残念な思考グセ”が隠されています。「すごい」と思われるどころか「うざい」と反感を買うだけ…。その痛々しい心理と、絶対にやってはいけない理由を解き明かします。(文/心理学者・立正大学客員教授 内藤誼人)

「AIでつくりました」
は新しい“偽装自慢”

 世の中には、自慢していないようで、さりげなく自慢する人が少なくありません。いや、「少なくない」どころか「わりとたくさんいる」と言えます。

 さりげない言い方で自分の印象をよくするようなほのめかし表現を、「偽装自慢」と呼びます。あからさまに自慢すると周囲の人に煙たがられそうなので、自虐や謙遜に見せかけ、さりげなく自分の良さを匂わせるのですね。

 最近では、業務にAIを使う人も増えてきた。そのためか、この偽装自慢をAIに応用するクセ者たちも現れている。「この資料、AIにつくらせてみました」「AIを壁打ちして企画を練りました」といった事例を聞く。もちろん、AIを使ったかどうかなど、誰も聞いていないし、興味もないのだが……。

 話し手が聞き手に期待するリアクションとしては「AIを業務に駆使しているなんてすごい」だと思うが、聞いている側のホンネは「AIなんて誰でも使ってんだよ、うざ」が関の山だろう。

 ほぼ確実に利き手の反感を買うにもかかわらず、一体なぜ自慢をしてしまうのか。「AI偽装自慢」をする人の「残念すぎる思考グセ」を心理学的な知見に基づいて分析してみた。