サンディエゴ州立大学のジーン・トゥエンジは、1979年から2006年までの新入生のデータ16475名分のナルシスト得点の時代的な変化を調べてみました。

 すると1982年よりナルシスト得点はずっと右肩上がりつづけ、2006年の学生の3分の2は、1979年から1985年までの学生の平均よりも上で、30%もナルシストの度合いが高まっていることが明らかにされたのです。
 
 ナルシストは、自分を大きく見せたいという欲求を強く持っていると考えられますから、昔に比べれば、あからさまな自慢も、さりげない偽装自慢も、どちらも増えているのではないかと推察されます。

「資料つくってみました」とだけ言えばいいのに、「この資料、AIでつくってみました」とさりげなく自慢するような人が増えたように感じる人も少なくないと思いますが、その印象は間違っていません。

 ナルシストが増えた結果、偽装自慢する人も相当に増えているのではないかと推察されるからです。

 自慢話をすると、自分はとても気持ちがいいのでしょうが、聞かされるほうはたまったものではありません。みなさんも他人の自慢話を延々と聞かされたら、うんざりしませんか。だとしたら、みなさん自身も他の人に自慢などはしないことです。

 自慢すればするほど、私たちの株は上がるどころか下がるのです。

 カリフォルニア大学のマイケル・ロビンソンは、謙虚な人のプロフィールと自慢する人のプロフィールを作って大学生に読ませ、どれくらい好意を感じるのかを尋ねるという実験をしてみました。

 その結果、謙虚な人ほど好意的に評価され、自慢する人ほど嫌われることがわかったのです。

 たとえ自分のことを自慢したいと思っても、そういう気持ちは「グッ」と押し殺して、人に伝えてはいけません。たとえ偽装してもダメです。あらゆる自慢はしないのが正解なのだということをしっかりと覚えておきましょう。

【参考文献】

Twenge, J. M., Konrath, S., Foster, J. D., Campbell, W. K., & Bushman, B. J.  2008  Egos inflating over time: A cross-temporal meta-analysis of the narcissistic personality inventory.  Journal of Personality ,76, 875-901.

Sezer, O., Gino, F., & Norton, M. I.  2018  Humblebragging: A distinct-and ineffective-self-presentation strategy.  Journal of Personality and Social Psychology ,114, 52-74.

Robinson, M. D., Johnson, J. T., & Shields, S. A.  1995  On the advantages of modesty: The benefits of a balanced self-presentation.  Communication Research ,22, 575-591.