周りに人がいるのに“なぜか孤独な人”の根本的な原因
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。
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人はなぜ孤独を感じるのでしょうか?
今日は、人はどのような時に孤独を感じるのか、そしてその孤独にどう対策すればよいのかについてお話ししたいと思います。
まず、孤独について考える前に、私たち人間はそもそも孤独な存在であるということを理解しておく必要があります。なぜなら、自分が何を考え、何を感じているのかは、最終的には自分にしか分からないからです。
他人が自分のことを100%完璧に理解してくれることはありません。そこには必ず、ズレや誤解が生まれます。他人の気持ちは推察することしかできないため、「誰も分かってくれない」という気持ちが生まれるのは、誰にとってもごく自然なことなのです。
私たちは一人で生まれ、一人で死んでいきます。本質的に、人は孤独な存在なのです。
孤独を感じる本当の理由とは?
では、本質的に孤独であることは分かっていても、寂しくてたまらないと感じる「孤独感」はどこからくるのでしょうか。周りに人がいるにもかかわらず、なぜ孤独を感じてしまうのでしょうか。
その主な原因は、周りの人に対する「期待」が高すぎることにあります。
「きっとこうしてくれるはずだ」「こう考えてくれるだろう」という他人への期待度が高いと、相手がその期待通りの言動をしなかった時に、「分かってくれない」「自分は一人ぼっちだ」と感じ、それが孤独感につながるのです。
つまり、多くの場合、孤独を感じている人は、無意識のうちに周りの人に期待しすぎている状態にあると言えます。ですから、この期待度を少し下げてあげるだけで、孤独感は和らいでいきます。
孤独が癒される意外な瞬間
一方で、孤独が癒されるのはどのような時でしょうか。それは、「期待」よりも「現実」が上回った時です。
例えば、漠然とした孤独感を抱いているとします。そんな時にふと立ち寄った喫茶店で、店員さんから優しい言葉をかけられたり、いつも犬の散歩ですれ違う人と挨拶を交わし、楽しい会話ができたりすると、心が少しほぐれるのを感じることがあります。
なぜなら、喫茶店の店員さんや散歩で会う人に対して、私たちはもともと大きな期待をしていないからです。そのような期待していなかった相手から思いがけず優しい言葉をかけられると、そのギャップから心は満たされ、孤独感が癒されるのです。
孤独感を和らげる「期待値」のコントロール術
この仕組みは、人気漫画・アニメ『ドラえもん』に登場するジャイアンに似ています。
普段のジャイアンはわがままで暴力的ですが、映画などの大長編になると、驚くほど仲間思いの頼もしい存在になります。これは、私たちが普段のジャイアンに全く期待していない(むしろマイナスのイメージを持っている)ため、少し良い行いをするだけで、そのギャップから「ジャイアンは本当は良いやつだ!」と強く感じてしまうからです。
これと同じことが、私たちの実生活でも起こります。
孤独を癒したいのであれば、まずは自分が周りの人に期待しすぎていないか、一度立ち止まって考えてみてください。そして、その期待の度合いを少しだけ下げてみるのです。そうすることで、相手の些細な優しさや思いやりに気づきやすくなり、それが心を温め、救われた気持ちにさせてくれるでしょう。
孤独を感じたら思い出してほしいこと
もしあなたが今、孤独を感じているのなら、それはどこかで誰かに期待しすぎているサインなのかもしれません。その期待に気づき、少しだけハードルを下げてみてください。
もしくは、全く期待していなかった場所や人との関わりの中に、あなたの孤独を癒すヒントが隠されているかもしれません。そのことを、少しだけ心に留めておいていただければと思います。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








