困難な状況こそ「今日」という単位で微分して考える
命に関わる病気や、長期的に闘わなければならない困難に直面した時も、この考え方は非常に有効です。
「今日1日、また次の1日」というように、考える範囲を限定するのです。これは数学の「微分」に似ています。人生全体の大きなグラフを考えるのではなく、「今日」という瞬間の傾きだけを考えるのです。今日の傾きさえ少しでも上向きにできれば、気持ちは着実に上向いていきます。
どのような大変な状況に置かれたとしても、今日1日で全てが決まるわけではありません。今日1日で結果が出るわけでもないのです。ですから、考える範囲を「今日の中」に留めることが大切です。
「行動」に集中し、心を今に取り戻す
さらに言えば、「今この瞬間」や「この1時間」という、より短い単位で考えることも有効です。
「今日もやることがたくさんあるな」と先のことを考えると気が重くなるかもしれません。しかし、例えば「今、日差しが気持ちいいな」「愛犬の顔が面白いな」と感じて笑ったり、「お腹が空いたから、冷蔵庫にあったアイスを食べよう」と考えたりする。そういった、その瞬間の感覚や小さな行動に意識を向けるのです。
「今しかできない行動」に集中する
そして、最も効果的なのが「行動」です。
人は何か具体的な行動をしている時、その行動に集中します。未来の行動も過去の行動も、今この瞬間にはできません。ウォーキングをする、食事を味わう、何かに没頭するなど、「今しかできない行動」に集中することで、未来への不安や過去への後悔から自然と意識が離れ、気持ちがとても楽になります。
「今、何をしようか」と考え、行動に集中する「行動主義者」になること。これが、「今を楽しむ」ための非常に実践的で有効な方法だと、私は思います。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








