
2024年、マンションの相続税の評価方法が見直された。背景には、時価と評価額の乖離を利用した「タワマン節税」を封じる狙いがあった。この制度変更に関するニュースを見て「タワマン節税は終わった」と考えている人も多いが、実際のデータからは「終わったとはいえない」現状が見えてくる。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)
「タワマン節税は終わった」とは
言い切れないワケ
「タワマン節税はもう終わったよね」
富裕層の方からそんな声を聞くことが多々あります。
というのも、2024年1月、相続税対策として人気だった「タワマン節税」を封じるため、タワマンの相続税評価の仕組みが大きく変わったからです。
しかし、実は丁寧に調べてみると、「タワマン節税が終わった」とは言い切れない実態が見えてきます。
制度の変更から1年半が経過する中、実際に相続が発生した都心マンションの相続税評価額を確認すると、当局の狙い通りになっていないということがわかったのです。
背景にあるのは、“タワマン増税”を超える勢いで進むマンション価格の高騰。結果的に、節税効果は依然として存在しています。
タワマン狙い撃ちだった
制度変更の中身
まずは制度変更の詳細と、実際の評価額がどう変わったのかについて見ていきましょう。
これまで、マンションは区分所有のため「土地の部分が小さく、評価額が低い」「建物部分には固定資産税評価額が適用されるため、減価償却もあり、買ったときより低く評価される」などの理由から、実勢価格に比べて相続税評価額が大幅に低い傾向がありました。