購入価格と補正率を加味した相続税評価額を比較すると、依然として都心の大規模マンションやタワマンの相続税評価額は時価の4割強ほどであり、実勢価格に比べて評価額が非常に低いことがわかります。
上の表で示したタワマンの補正率は、いずれも1.7前後。つまり、路線価評価に1.7倍くらいの補正をかけても時価の4割強程度なのです。
ちなみにこれらのマンションを貸していた場合、貸家建付地評価などでさらに減額されるので、だいたい時価の3割強程度まで圧縮されていきます。小規模宅地の特例が使える場合は、さらに減額されます。
依然として、「現金を持つよりもタワマンとして資産を保有したほうが、6~7割ほど相続税評価を圧縮できる」という実態になってしまっているのです。
つまり、タワマン増税は行われたものの、「節税封じ」という当初の狙いは、現時点では達成できていません。
ついでに、もう少しリーズナブルな物件についても見てみましょう。ごくごく一般的な中古マンションの場合、評価額は以下の通りです。
このようなごく普通のマンションでも、相続税評価額は時価の5割程度。目安とされている6割を下回ります。
やはり普通のマンションでも価格が高騰しているため、結果として、まだ「相続税対策になってしまう」という状況なのです。
税務当局と富裕層の“いたちごっこ”は
これからが本番だ
このような現状を踏まえ、相続に詳しい税理士やごく一部の富裕層からは
「タワマンは増税で終わったと思っていたけど、実際はまだ節税できる」
「数年前にタワマン買っておいた人は、相続対策で有利な状態を保っている」
という声が確かにあります。